7の抜歯窩ではなく,当初は舌のみの痛みとして始まりまし2.口腔扁平苔癬やカンジダ,鉄欠乏性貧血などが原因で痛みが生じているものは,BMS/舌痛症ではないため鑑別が必要である(表1).疾患の説明紹介状の書き方の例.痛みの11212.1. BMSを疑う理由 BMSの痛みは,「やけどをしたような」「ヒリヒリする」灼熱痛であり,多くの場合,覚醒している間中,持続する.一方で,BMSには,摂食時には痛みは感じない(消失する)という大きな特徴がある.3.治療法 治療は中枢性に奏効する薬物(抗うつ薬など)で行う.これらの薬の使用には専門的な知識が必要なため,口腔顔面痛専門医に依頼するのがよい.ふりがな患者氏名○○○○○○殿 性別 女生年月日明・大・昭・平・令 ○年 ○月 ○日 68歳 病名(主訴)舌痛症の疑い 平素よりお世話になっております. 舌と左口蓋,咽頭部にかけての持続性のひりひりするやけどをしたような痛みを主訴に1か月前に当院を受診された患者です.口腔粘膜には特に異常は認められません強度は中等度で,摂食時と睡眠中には痛みは消失します痛みは2年前の7の抜歯をきっかけに,始まったとのことです.たが,時間とともに咽頭部や口蓋に拡大しています.る(図1).BMSのなかでも痛みが舌に限局するものを,とくに「舌痛症」とよぶ(図2).高齢者に好発し,平均受診年齢は67歳で,9割が女性である.持続性特発性歯痛と同様に,摂食時には痛みが改善するのが最大の特徴である.患者の3~4割にうつ病か不安症の既往があると報告されている. 口腔灼熱痛症候群(burningmouthsyndrome:BMS)とは「3か月を超えて,毎日,1日2時間以上持続する口腔粘膜の表層の灼熱痛あるいは異常感覚で,臨床的に明らかな原因病変を認めないもの」をいう.口腔粘膜のどこにでも生じうるが,多い順に,舌尖部,硬口蓋,歯肉,下口唇,咽頭部と報告されており,通常,両側性に生じ図1 BMSの痛みの部位.口腔粘膜表層のどこにでも生じうる.図2 舌痛症の痛みの部位.CHAPTER❷痛み・顎関節64紹介のポイント2-2-2 特発性口腔顔面痛① 舌痛症・口腔灼熱痛症候群
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