口腔機能発達不全症読本
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1ab閉塞軟口蓋が下がる 小児科医 若槻雅敏1.はじめにOSAの呼吸アデノイド増殖症顎が小さい 舌が大きい舌根の肥大 小児の閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep ことが明らかになっており1,小児OSAの早期発見・早期治療の重要性が高まっています. 成人OSAでは原因の2/3が肥満といわれていますが,小児OSAにおいて未就学児では口蓋扁桃肥大やアデノイド増殖症が主な原因であり(図1),学童期以降はアレルギー性鼻炎(Allergic Rhinitis,以下イド増殖症に対しては手術(口蓋扁桃摘出術,アデノ▶健康な呼吸とOSAの呼吸の状態132Apnea,以下OSA)が成長や学業に悪影響を及ぼすAR)や肥満が加わります2.口蓋扁桃肥大やアデノイド切除術:Tonsillectomy and Adenoidectomy,以下T&A),ARに対しては内科的治療(抗アレルギー薬内服や点鼻ステロイド薬など),肥満に対しては減量や睡眠中の健康な呼吸図1a,b 小児 OSAにおいて,未就学児では口蓋扁桃肥大やアデノイド増殖症が主な原因である.a:気道が狭窄していない状態.b:気道が部分的,もしくは完全に閉塞した状態(参考文献3より引用改変).持続陽圧呼吸療法が行われることが多く,小児は多岐にわたるOSAの原因を見極めることが治療を検討するうえで重要です4. 近年本邦で初めて口唇閉鎖不全に関する全国大規模疫学調査が実施され,約3割の小児が口唇閉鎖不全の状態である可能性が判明しました5.小児期の慢性的な口呼吸が顎顔面形態の成長に悪影響を与え,OSAのリスク因子になる可能性が指摘されており,原因としてARやアデノイド増殖症による鼻呼吸障害が挙げられます. 本稿ではまず小児OSAについて概説し,続いて口呼吸の弊害とその是正のための医科歯科連携の重要性について,実例を交えて紹介します.小児の閉塞性睡眠時無呼吸,医科歯科連携について

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