図17a 上下顎歯列間に舌を介在させて嚥下している.(2)嚥下機能C-7 舌の突出(乳児嚥下の残存)がみられる (離乳完了後) 50 舌の突出(乳児嚥下の残存)の評価は,「つばを飲み込んでね」と声をかけ,口角鉤やアングルワイダーを使用して嚥下の様子を確認し,下記のいずれかに該当しているかどうか観察します(図17).唾液が出ない場合は,横から少量の水を入れて嚥下してもらいます.①乳児嚥下と成熟型嚥下(図18) 出生直後からみられるのが乳児嚥下で,1歳半頃から成熟型嚥下へ移行していきます.乳児嚥下から成熟型嚥下への移行がうまくいかない原因には,中枢性の機能障害や口腔習癖,口唇閉鎖不全,口呼吸,重症う蝕などがあります.乳児嚥下の残存は口腔習癖(舌突出癖や異常嚥下癖など)や歯列不正(開注意する項目:離乳完了後(1歳半以降)に評価 唾液嚥下を指示したときに,下記のいずれかに該当する.⃞ 上下顎歯列間に舌が介在している.⃞ 上下前歯舌面に舌を圧接させて嚥下する.⃞ 歯列の側方に舌を突出させて嚥下する所見がある.⃞ 食事中にむせることがある.⃞ 嚥下中にオトガイ筋の緊張がある.▶舌の突出咬,上顎前突など)の原因となるため,注意深く診査舌位の訓練など)を行います.長期的に舌の突出(乳児嚥下の残存)が認められる場合は歯列の異常を惹図17b 上下前歯舌面に舌を圧接させて嚥下している.し,必要に応じた指導が大切になります. 舌の突出(乳児嚥下の残存)がある場合,嚥下時にオトガイ筋の緊張(図19)がみられたり,発音時に舌が見えたりすること(図20)があります.また,舌を前後運動させて嚥下するため,舌が口蓋につかず,舌苔が付着しやすくなることや,食べ物が口腔内に残留していることがあります(図21).②舌の突出(乳児嚥下の残存)への対応(図22) 口腔筋機能訓練(口唇閉鎖訓練や咀嚼・嚥下訓練,起していることがあり,口腔習癖の除去だけでは歯列・咬合の改善は期待しにくいため,形態の改善や習癖除去を目的としたタングクリブなどを使用する必要があることもあります.
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