2.小児OSAとはA.以下の最低一つが存在する1.いびき2.努力性,奇異性あるいは閉塞性呼吸がその小児の睡眠中に認められる3.眠気,多動,行動の問題,あるいは学習障害があるB.睡眠ポリグラフ検査(PSG)で以下のうち最低一つを認める1.睡眠1時間あたり,1回以上の閉塞性無呼吸,混合性無呼吸,混合性無呼吸あるいは低呼吸2.総睡眠時間の少なくとも25%以上が高炭酸ガス血症(動脈血炭酸ガス分圧>50mmHg)であることで定義される閉塞性低換気パターンで,以下のうち最低1つをともなうa.いびきb.吸気時鼻圧波形の平坦化c.胸腹部の奇異運動図2 小児OSAの診断基準.(1)原因(2)診断133 小児OSAの原因としてもっとも重要なものは口蓋扁桃肥大とアデノイド増殖症であり,増悪因子として肥満やアレルギー性鼻炎が挙げられます.アデノイド増殖症は4~5歳頃にピークを迎え,口蓋扁桃肥大はそれより1~2年遅れてピークを迎え,その後は退縮していきます6. 肥満傾向児の出現率の推移は年齢層によりばらつきはありますが,2003年あたりからおおむね減少傾向です.しかしながら,学童期以降の女子では5%未満であるのに対し,学童期以降の男子ではまだ約10%と高い状態です.また,男女ともに高度肥満の頻度の低下は少ないといわれており,社会全体の啓発が進んでも難治性の高度肥満の患者数は減少していないのが現状です7. 一方ARについては,本邦における通年性ARの有病率が0~4歳で5.1%,5~9歳で20.9%,10~▶小児OSAの診断基準19歳で38.5%と増加かつ低年齢化が進んでおり8,ARは小児期の鼻腔通気障害の主な原因となっています. 小児OSAの基準を図2に示します.睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では症状(睡眠中のいびき,睡眠ポリグラフ(Polysomnography,以下PSG)での閉塞性の無呼吸・低呼吸,混合性の無呼吸の頻度とで定義されています9. 呼吸イベントは大きく分けて3つ(中枢性,混合性,性を合わせてobstructive AHI(以下O-AHI)としています.小児ではPSGにてO-AHI(Apnea Hypopnea らOSAの重症度を評価します.小児OSAの重症無呼吸,吸気中の胸郭の陥没,体動覚醒,発汗など)と閉塞性)に分類されますが,本稿では混合性と閉塞Index:睡眠1時間当たりの無呼吸・低呼吸の回数)かCHAPTER5 医師,コメディカルと連携して取り組む⼝腔機能発達不全症小児の閉塞性睡眠時無呼吸の診断基準(基準AとBを満たす)
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