西山 暁東京科学大学総合診療歯科学分野准教授東京科学大学病院顎関節症外来診療科長歯科医師井上 和ぶっちゃけK’s seminar主宰歯科衛生士(筆者作成)骨びらん骨棘正常な顎関節顎関節のうち、とくに下顎頭の形態や皮質骨に注目しましょう。 一般的に行われる画像検査はパノラマエックス線検査だと思います。まず見るべきは顎関節で、特に下顎頭の形態や皮質骨(白線)に注目します。下顎頭頂部の白線が不鮮明、あるいは連続性が絶たれている場合は要注意です。あとは、顎関節症の症状と類似した疾患を鑑別するために、歯や歯槽骨の異常、上顎洞の異常についても確認します。 パノラマエックス線写真で下顎頭の形態を確認する場合、撮影時の条件が咬合位だと下顎頭と他の骨構造物が重なり、下顎頭だけを描出することが難しくなることがあります。この場合、10mm程度のブロックやロールワッテを前歯部で噛ませた状態で撮影すると、下顎頭がわずかに前方滑走することから、下顎頭が見やすくなります。 顎関節は当然直接見えないのでエックス線写真が頼りです。顎関節の不調和を訴える患者さんにはパノラマエックス線写真を撮影します。普段はあまり注目することのない顎関節ですが、パノラマエックス線写真をよく見てみると左右差があることはとても多いです。その形の差はさまざまで、注目して見てみるととても面白いです。人って左右対称みたいに思われるけれど、ずいぶん違うんだなぁって思います。皆さんも顎関節、見てみてください。個人的にはロールワッテを噛むと鳥肌が立ちます。ガラスを爪で引っ掻く、あの感じです。96正常な顎関節のパノラマエックス線写真(左顎関節部)。関節機能に関与する関節隆起と、その外側にある関節結節の位置関係を正しく読影する必要があります。CHAPTERQ1顎関節症の患者さんにおいて、エックス線写真で見るべきところを教えてください。顎関節症に関するQ&A4
元のページ ../index.html#5