DHが意外と知らない知識をまとめてみた
4/6

 歯は割れてしまうとほとんどは抜歯です。う窩ができたら元には戻りませんし、削ってしまえば元通りにはなりません。レジンや金属、セラミックなどで修復はできますが、削られた歯が戻るわけではありません。なぜなら、歯にはリモデリングがないからです。象牙質は第二象牙質などわずかに再生されることがあります。NCCL(非う蝕性歯頚部歯質欠損)などでエナメル質が減ると、歯髄を守るため、歯髄側に第二象牙質ができることがありますが、ほんのわずかです。エナメル質を作る細胞は、エナメル質を作り終えるとなくなってしまうので、再生はありません。唾液中のカルシウムにより再石灰化は起こりますが、もちろんう窩が再生されるほどではありません。セメント質は1mm程肥厚することもありますが、歯を再生するほどではありません。 以前から、歯を作る研究が行われています。さまざまな組織の元になる幹細胞を使って、歯を作る方法です。乳歯と永久歯の芽のほかに存在する、第3の芽を使って歯を作る方法などが試されていますが、地域の歯科医院で歯の作成を安価にできるようになるのは、まだまだ先のようです。 う蝕予防のためにはシュガーコントロールとフッ化物の使用。NCCL予防のためには、定期的な口腔内規格写真撮影による歯の形の観察。酸性飲食物の摂りかた、適切な歯磨剤使用の指導が必要です。 骨の構造をもう少し見てみましょう。鉄筋コンクリートの建物を造る現場を見たことはありませんか? 鉄の棒を何本か縦横に組み合わせ、柱の元を作る。それを木製の板で囲んで柱の形を作ります。これを型枠と呼びます。次に、型枠の中にコンクリートを流し込みます。固まった後、板を外せば、中に鉄製の支柱が入ったコンクリートの柱が完成します。 骨はこれに似た構造になっています。鉄製の棒はコラーゲン線維、タンパク質でできています。骨はコラーゲン線維でできた型枠に、カルシウムを流し込んだような構造になっています。コンクリートの柱と違い、中にはとても細い通路が張り巡らされています。石のような塊ではなく、れっきとした生命体です。極細の通路を、骨を壊す細胞や骨を作る細胞が行き来しています。また、「骨をリモデリングせよ」という指令も送られます。再生のため壊されたカルシウムなどの排除も、この通路を使って送られるのです。骨はコンクリートのような非生命体ではありません。生きているのです。コラーゲン線維の型枠の中に、カルシウムを流し込んだような構造骨のように再生しないからこそ、歯を守る必要があるPART1 CHAPTER2 骨について、おさらい19骨はタンパク質で作られた型枠にカルシウムを流し込んだような構造になっていて、カルシウムで埋めるのは骨芽細胞(P.22)です。DH’s POINT

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る