11井上 和ぶっちゃけK’s seminar主宰歯科衛生士槻木恵一神奈川歯科大学病理組織形態学講座環境病理学分野分子口腔組織発生学分野主任教授・歯科医師ます。そこは涙と同じです。 唾液にはさまざまなはたらきがありますが、おさらいということで、これだけはおさえておきたいものに絞ってご紹介します。ともなく食べられるのは、唾液が口腔内を湿らせ、糖タンパクであるムチンを含む粘液が粘膜を守ってくれているからです。唾液のおかげで、お煎餅は粘膜を傷つけることもなくまとまり、上下の歯と歯の間に届けられます。唾液がなければ、粉のままでむせてしまいますし、うまく飲み込むことができません。唾液の水分によってまとめられ、塊になるから、うまく飲み込むことができるのです。 唾液には、でんぷんを分解する酵素、アミラーゼがあります。以前はジアスターゼと呼ばれていました。他にも、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼ、脂肪の分解酵素リパーゼが含まれています。お煎餅はでんぷん分解酵素アミラーゼにより、口腔内でも分解されます。胃に届けられたお煎餅は、胃酸によってさらに分解されるのです。口腔内に唾液があるからこそ、消化器で速やかに消化されます。食べ物を嚥下・消化しやすくする唾液は「ツバ」と呼ばれ、うとまれてきました。誰かのツバを触るのは嫌ですよね。日常的に口腔内に触れている私たちでも、グローブなしにツバを触るのはムリ。患者さんはよく口腔内に指を入れて「この辺りがしみるんです」なんてやりますが、ヒヤッとします。体から分泌される汗や涙は平気なのに、なぜツバはダメなんでしょう。そんな“汚いもの”扱いされている唾液ですが、実はものすごい能力を持っているんです。もうツバとは呼ばせない、知らなかった唾液力! まずはおさらいです。 唾液はただの水ではありません。99%は水ですが、残りの1%に機能性の高いさまざまな物質が100種類以上も含まれているんです。元々は血液。その成分のひとつである赤血球などを濾して透明な唾液が作られ お煎餅が食べられるのは、唾液のおかげです。お煎餅を割って手に刺したら、かなり痛いですよね。お煎餅を手で粉々にするのは難しい。傷もつきます。でも、口に入れてバリバリ噛んで口腔内が傷だらけになるこ10唾液が食べ物をコーティングすることで、スムーズに飲み込めます。CHAPTER唾液って、何をしているの?唾液について、おさらい
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