薬剤関連顎骨壊死
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c図2a~d 右側頬部腫脹,上顎右側臼歯部疼痛,排膿を認めて紹介来院した(a).CTで8 │歯根破折(b)と同歯周囲に骨硬化像(c)と上顎洞炎を認めた.乳がん骨転移でBP(ゾレドロン酸水和物)とDmabが投与されていた.頬部蜂窩織炎およびMRONJ(ステージ3)の疑いと診断した.アモキシシリン(1.5g/日)の投与で消炎したが,認知症で姪と二人暮らしのために通院困難となった.約3か月後,近在歯科で同歯抜歯後に骨露出をきたした(d).本人も姪も手術を希望せず,Dmabを休薬し,経過観察を行った.初診時のCTで8 │周囲に硬化像を認めていたので,すでにMRONJを発症していて,抜歯を契機にMRONJが顕在化したケースであると思われた.抜歯によりMRONJが顕在化した症例CHAPTER 5 BP・デノスマブを投与中の患者の歯科治療初診時,ARA投与を見逃してMRONJを発症することがあるので,骨粗鬆症やがんの骨転移のある患者などでは医科に対診し,ARAの投与歴を確認する.とくにARAの注射薬はお薬手帳に記載はなく,患者からの申告もないので注意する(図3, 4, 表4〔P77〕).abdケースがあることに注意喚起している(図2)1, 2.そのため,抜歯が必要な場合は,すでにMRONJを発症していないかをエックス線で慎重に判断し,患者にMRONJ発症のリスクを十分に説明し,了解を得てから行う.65

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