スケーリング・ルートプレーニング0.2%歯科インプラント1%図1 日本口腔外科学会の調査によるMRONJ発症契機3.歯周病10.8%,根尖性歯周炎14%がMRONJ発症契機となっているので,抜歯を恐れて感染している歯を保存することはリスクとなる.MRONJ発症の主要因ではないといわれている(図1)2, 3.PPでは,すでに抜歯前に潜在的にMRONJを発症しており,抜歯によってMRONJが顕在化するその他2.3%自然発生13.6%骨隆起1%歯周病10.8%根尖性歯周炎14%義歯の不適合7.9%不明1%抜 歯48.1%n=979薬剤関連顎骨壊死ビスホスホネート(bisphosphonate:以下,BP)やデノスマブ(以下,Dmab)の骨吸収抑制薬(antiresorp-tive agent:以下,ARA)を投与中の患者の歯科治療時には,MRONJ発症に関わるリスク因子に注意する必要がある1, 2(表1).最新の日本版ポジションペーパー(以下,PP)2023ではMRONJ発症メカニズムは,口腔細菌感染とMRONJ発症との因果関係が重要視されている2.局所因子のなかでは口腔衛生状態の不良や歯周病,根尖病変,顎骨骨髄炎,インプラント周囲炎などの顎骨に発症する感染性疾患がMRONJの明確なリスク因子とされているので,ARA投与中の患者の歯周病や根尖病変などを放置するべきではない.また,抜歯はMRONJ発症の最大のイベントであるとされてきたが,抜歯の適応となる重度の歯周病や根尖病変などの歯科疾患の多くは,すでに顎骨に細菌感染をともなっていることが多いので,最近では抜歯だけが表1 MRONJ発症に関わるリスク因子(CHAPTER2 AAOMS PP 2022を参考).BP:ビスホスホネート,Dmab:デノスマブ■骨吸収抑制薬:BP,Dmab(投与量:高用量>低用量,累積投与量)■抗スクレロチン抗体製剤 ロモソズマブ(骨吸収抑制と骨形成促進作用のデュアル・エフェクトを有する)■血管新生阻害薬 VEGF阻害薬:ベバシズマブ(抗VEGF抗体),アフリベルセプトベータ(遺伝子組み換え) マルチキナーゼ阻害薬:スニチニブ,カボザンチニブ薬剤関連因子mTOR阻害薬:エベロリムスチロシンキナーゼ阻害薬:ニンテダニブ■免疫抑制薬:メトトレキサート■副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)■顎骨に発症する感染性疾患 歯周病,根尖病変,顎骨骨髄炎,インプラント周囲炎など■侵襲的歯科処置 抜歯,歯科インプラント手術,歯周外科処置など■口腔衛生状態不良■不適合義歯:義歯の使用はMRONJのリスクが2倍高い■過大な咬合力■解剖学的要因(好発部位) 下顎(47〜73%)>上顎(20〜22.5%),上下顎(4.5〜5.5%) 下顎隆起,口蓋隆起,顎舌骨筋線の隆起の存在局所因子■糖尿病■自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,シェーグレン症候群)■人工透析中の患者■骨系統疾患(骨軟化症,ビタミンD欠乏,骨パジェット病)■貧血(Hb<10g/dL)■生活習慣:喫煙,飲酒,肥満全身因子64
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