薬剤関連顎骨壊死
2/6

MRONJ発症抜歯を避けても発症する!抜歯局所感染(慢性炎症)い(約5年以上の)場合には,抜歯窩の治癒が遷延する可能性が高くなる10ことは念頭に置くべきであり,管理が良くなければMRONJを発症するリスクもあるだろう.②インプラント埋入手術日本版PP 2023において,低用量ARA投与中のインプラント埋入手術は禁忌とはいえない(高用量では原則として禁忌).一方,手術侵襲は加わらないが,インプラント周囲炎の持続はリスクである(CHAPTER 3 表③歯根端切除,歯周外科手術日本版PP 2023が出るまでは,低用量ARA投与中の歯根端切除や歯周外科はリスクと考えられていたれる傾向にあった.そのため,実施後の予後については不明であるが,抜歯やインプラント埋入手術と同様に,手術侵襲によってMRONJが発症するリスクは必ずしも高くないと推察する.抜歯後と同様に,手術によって顎骨骨髄炎が悪化,もしくは潜在していたMRONJが顕在化する可能性はある.閉鎖創とするため,長期的な経過観察を必要とする.低用量ARA投与中の観血的歯科治療顕在化!抜歯が必要な歯は局所感染+※自験例図1 抜歯前からある局所感染が原因で潜在するMRONJが,抜歯によって顕在化.入手術時などに,視診・触診上,骨に異常(変色や脆弱化)を感じた場合には,組織を病理検査に提出し,MRONJでないかを確認する,というような慎重な対応が望まれる.これは,抜歯したためにMRONJを発症したのではなく,抜歯時にすでにMRONJ(壊死に至らない顎骨骨髄炎も含む)が存在したことを客観的に証明できるチャンスである.①抜歯の適応基準抜歯の基準については,発症頻度が低いMRONJを極度に恐れて,無症状の根尖病変がある歯を積極的に抜歯する必要はなく,まずはARAを使用していない患者の抜歯の適応基準と同様でよいと思われる(=抜歯すべき歯は抜歯する).むしろ,糖尿病などの基礎疾患がある,グルココルチコイド(プレドニゾロンⓇなど)や抗悪性腫瘍薬などを併用している,というような場合には,感染が進行しやすいため抜歯しておく,というような,ARA以外の要因を優先すべきである.ただし,高用量や低用量でもARAの累積投与量が多CHAPTER 4 MRONJの概要, 予防,分類4b参照).(CHAPTER 3 表4a)ため積極的には行われず,控えら59

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る