図30c,d 歯槽頂からMGJを越えて可動粘膜に刃先が到達したら縦切開部へと移る.縦切開の最歯冠側のフラップ隅角をフォーセップスで把持して頬側方向へテンションをかけ,刃先を遠心方向へ倒して根尖側から歯冠側へと切り上げるようにメスを可動粘膜へ進ませる.頬側へフラップのテンションをかけながら,今度はフラップの内面を見ながらその最深部を歯冠側へ切る.可動粘膜は厚みがあるため,穿孔することはない.下顎小臼歯部の場合,オトガイ孔より5mmを越えてメスを進めてはならない.図30e 切開の実際.①切開は骨に達していない.②③MGJを越えた歯槽粘膜の部分では,根尖側から歯冠側に向け切開を行う.図30f〜h 次に口蓋側のディープニングを行う.ライニングから連続性をもって顎堤に対し平行にメス刃が隠れる程度(10mm)の深さで深部へとメスを進めていく.歯肉の厚みは歯冠側断端(ライニング部)が1mm,最深部は3mmになるように切る.そしてメスの刃先を骨側に向け,骨膜を切る.この操作により,中抜きする歯牙周囲の軟組織とフラップが分離できるようになる.そして骨膜剥離子やチゼルなどを用いて,口蓋のフラップを全層での剥離を根尖方向に少し進めておく.遠心側のウエッジのディープニングは,頬側はメスの刃先を頬側に向け,顎堤と平行になるように深部へと進み,先に切開した頬側の部分層へと連続性をもってつなげていく.フラップの厚みが薄い場合は,メスの刃先を₇遠心頬側隅角部あたりで骨面へ向けて骨膜を切り,上顎結節の軟組織を全層で分離してもよい.口蓋側も頬側と同じくライニングから口蓋側顎堤に平行になるようにメスを進め,最後は先に切開した口蓋のフラップの切開とつなげる.これで歯牙周囲の取り除く軟組織とフラップの分離が可能となる.cd①②③fgh315CHAPTER5 切除療法
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