咬合挙上
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adbce咬合挙上 その意思決定と臨床手技148図6-8a~e 図6-2の患者の初診時の口腔内写真.臼歯部の補綴空隙は皆無であった.参照)に準じた対応が求められる.そのため,挙上により大臼歯部の補綴空隙を確保しようとすると前歯部の被蓋関係を著しく損なうことから,咬合挙上量は最小限とし歯冠長延長術を併用した(図6-9). オクルーザルスプリントの使用が困難であったため,早期に平均値咬合器で製作したプロビジョナルレストレーションを装着し,根管治療,臼歯部の歯冠長延長術の術後経過を確認できるまで約1年間,経過観察を行った. その後,最終補綴装置へ移行した(図6-10).挙上量は,第一大臼歯部で2mmとした.Case 咬頭嵌合位を基準として咬合挙上を行った症例症例概要患者:26歳,男性.主訴:むし歯がたくさんあり,食事がしづらい.既往歴:10年以上歯科治療を受けておらず,全顎的にう蝕が進行していた.治療の実際 臼歯部の補綴空隙は皆無であり(図6-8a~e),顎変形症に対する外科的矯正治療も提案したが患者は希望しなかったため,補綴治療で可及的に対応することになった.本症例は中心位への誘導が行えないものの習慣性開閉口運動は安定し,タッピングポイントの収束も確認できたことから,咬頭嵌合位を基準として最小限の咬合挙上を行うこととした.本症例は,Turnerら6-21の重度tooth wearのカテゴリー分類における“カテゴリー3”(4章4-3〔77ページ~〕 さらに,本症例は下顎が小さく下顎角が大きい.

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