4章 中心位を基準とした咬合挙上法93とによる歯髄炎)図4-16a~e 初診時の口腔内写真.科大学病院)歯系診療部門むし歯歯科で歯内治療を性飲食物の習慣性摂取なし.睡眠同伴者から歯ぎしり音の指摘あり.東京科学大学病院(旧・東京医科歯完了後,咬合の回復を目的に同義歯科を受診.咬合採得を行い,調節性咬合器上での検査に備えた.本症例では中心咬合位と咬頭嵌合位が大きくズレており,かつ早期接触を認めたため,この時点でTurnerらの分類(図4-2)のカテゴリー2である可能性が高いが,咬合器上で中心咬合位における補綴空隙の確保が可能か否かを評価する必要がある.③その他の検査 プラークコントロールは良好で,全顎的に4mm以上の歯周ポケットは認めなかった.骨隆起の発達と顔貌所見から咬合力は強いと予想された.陳旧性う蝕の他,tooth wearによる象牙質露出や修復物の脱離が認められたが,早期対応を求められる部位はなく,最終的な咬合回復時に対応することとした.患者は保険適用内での治療を希望し,矯正歯科治療やセラミック修復は行わずに対応することとなった.Case1 中心位を基準としてtoothwearを治療した症例症例概要患者:62歳(初診時),男性主訴:₆の痛み(重度tooth wearによって露髄したこ既往歴:全身的な特記事項なし.逆流性食道炎,酸1.初診時の検査,診断①咬合高径の評価 骨格性Ⅱ級の患者であることから,上顎前歯唇側から切縁にかけての摩耗は顕著ではないものの,咬合面観では全顎的なtooth wearを認めた(図4-16).顔貌評価(図4-17),最小発音空隙において明らかな異常はなく,下顎安静位の評価でも咬合高径の明らかな減少は認めなかった.②下顎位の評価 両手誘導法(図3-5〔54ページ〕参照)とリーフゲージによる誘導(図3-9〔57ページ〕参照)で評価を行った.この結果,1mmを超える中心咬合位と咬頭嵌合位のズレを認め,中心咬合位において₇と₆₇に早期接触を認めた(図4-18).今回は中心位を基準とした治療を行うこととし,概形印象,フェイスボウトランスファー,咬頭嵌合位および中心位でのabcde
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