在BLBL それでは,どのような症例に両側型フラップを適応し,どのような症例に片側型フラップが適応されるのであろうか. 先に述べたように一般的に,歯の隣接面を主体として歯周病が進行していることが多い.結果として,歯間部を主体とした骨欠損に,根分岐部が含まれることになるので,基本的に通常の頬舌側を剥離する再生術式を選択する(CASE 6, 7). 一方,片側型フラップを選択するのは,頬側の再生,あるいはどちらかの骨壁が存在すること,近遠心の骨レベルが正常であることが条件である.これらを組み合わせるといわゆる「key hole」型の根分岐部病変が片側型フラップの適応となることがわかる(FIG 17).axial(水平断)画像での診断根分岐部が主体の骨欠損いわゆるkey hole defect片側型フラップによるアプローチ片側型フラップを選択する条件片側型フラップを選択する条件とは?(FIG 16, 17)Ⅱ型sagittal(歯列平行断)画像での診断スキャロップ型(ポジティブアーキテクチャー)CHAPTER 2 剥離からみたフラップデザイン真と同じ平面での観察となるが,CBCTではさまざまな位置でsagittal画像を切り出すことができるため,有益である.sagittal画像で注目すべき点は,「根分岐の位置」と「近遠心の骨の高さ」との位置関係である. 正常な歯では近遠心の骨レベルが高く,頬側もしくは根分岐部で骨の高さが低くなり,それが連なることでいわゆるスキャロップの形態となる.これを「ポジティブアーキテクチャー」と表現することがある. 歯周病が隣接面を主体として進行することで,歯間部に骨欠損が生じる.結果として近遠心の骨レベルが低くなり,逆スキャロップの形態となる.これを「ネガティブアーキテクチャー」と表現することがある.ネガティブアーキテクチャーの骨欠損形態で根分岐部病変が進行すると,難症例となることが多い. また,近遠心のうちのどちらかの骨欠損が近遠心のどちらかの一側に限局して進行した際に根分岐部が含まれる場合は,通常の骨内欠損とみなすことができるため,通常の再生療法外科術式で対応が可能なことが多い.cross sectional(歯列直交断)画像での診断Ⅰ型・頬舌側に骨壁が・舌側に骨壁が存存在・根分岐部での2・根分岐部での1壁性骨欠損壁性骨欠損アプローチ容易弁の閉鎖容易骨の再生に有利FIG 16 片側型フラップを選択するのは,根分岐部が主体の骨欠損,いわゆる key hole defectである.骨吸収と相関するプロービングデプスを有する場合に考えられる要因は,バイオフィルム,咬合性外傷,セメント質剥離,パーフォレーション,エンドペリオ病変,歯根破折,である.また,パラファンクションが関与しているケースは難易度が高い.48
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