外科術式とlongevityから再考するインプラント周囲組織マネジメント
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た1〜5。これらの問題への解決にはその乳頭が、①インわせて乳頭再建の計画を立てることになる。本稿で焦点を当てるのは外科的アプローチとなるが、それは元来、困難な術式として捉えられている。その理由として挙げられるのは、基本的に結合組織移植(Connective Tissue Graft:CTG)を用いた再建となる点である。乳頭部に限らず、CTGを行った部位ではいかに血液供給を確保するかが重要となる。乳頭部へのCTGにおいては術直後からの十分な血流が欠かせないことから、一般的には歯間乳頭保存術(パピラプリザベーションテクニック)の考え方を応用することになるだろう。そして、乳頭再建に関する他の報告6、7を見ても、歯間乳頭保存術の考え方を応用した術式を用いていることが多い。 それに加え、乳頭部分の環境的な問題もある。つまり乳頭部という非常に狭い範囲で軟組織を再建するため、広いスペースに大きく再建するのとはまた違った難しさがでてくる。以上のことからも、乳頭再建術は繊細で複雑な術式になるといえるだろう。 Salamaらの乳頭様組織再建に関する文献8において、6つの乳頭パターンが示されている(図1、表1)。そこでは歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの垂直的な距離(再建の可能性)を述べている。筆者の経験からすると、まず天然歯間部分の乳頭の垂直的な距離はバラつきがもっとも少ないように思える。次に、ポンティックが隣接する場合は、軟組織の高さにおいてはもっともバラつきが出ていると感じられる。そして、もっとも垂直的に軟組織を維持しにくいのがインプラント-インプラン インプラント治療における審美修復を考えた場合、乳頭(本稿では歯間乳頭と同様に、天然歯と修復物間、修復物と修復物間の乳頭様組織も広範囲の意味において「乳頭」に含まれると考え、そのように呼ぶ)の欠損あるいは乳頭の高さの減少といった問題に直面することは少なくない。筆者は25年前から審美修復に携わっているが、乳頭の減少ならびに欠損には頭を悩まされ続けてきプラント-天然歯間、②インプラント-ポンティック間、③インプラント-インプラント間のいずれによるかで再建方法が変わってくる。 また、インプラントの埋入状態、とくにインプラント周囲の骨レベルの状態も再建において重大な要素となり、単に軟組織の再建だけを考えればいいものではない。このような複雑な要素を紐解きながら、インプラント間の乳頭再建計画を考えるべきであり、それは時に広範囲にわたる治療計画となることもある。 そこで、本稿ではインプラント周囲の環境の違いがどのように乳頭再建にかかわってくるか、いくつかの治療例を供覧し、最新のエビデンスと照らし合わせて考察してみたい。 乳頭再建においては、基本的に以下の3つのアプローチがある。すなわち、①外科的アプローチ、②補綴的アプローチ、③矯正的アプローチである。これらを組み合72乳頭の6つのパターンはじめに乳頭再建の難しさシンポジウムⅡ1984年 日本大学松戸歯学部卒業1989年 鈴木歯科医院開業2009年 日本大学松戸歯学部客員教授米国歯周病学会(AAP)、米国インプラント学会(AO)、日本歯周病学会専門医、日本顕微鏡歯科学会理事・指導医、日本臨床歯科学会理事、OJ相談役鈴木真名Masana Suzuki東京都開業インプラント間の乳頭再建を考える

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