MISを念頭に置いたApplication of tooth roots with periodontal ligamentについて報告する。 HürzelerとZuhrらは2010年に新しい概念、すなわち唇側の歯根切片をそのままにし、口蓋部分を抜去し、そのスペースに抜歯即時埋入を行う手法を、動物実験と臨床報告で併せて報告した2。彼らはそのテクニックをソケットシールドテクニック(socket shield technique:SST)と呼称した。一方、SalamaやGluckmanらは、インプラント間のポンティック部位であれば、歯根を完全に残す手法としてRST(root submergence technique)があり3、また根尖病変があるような症例では唇側歯牙切片のみを残す手法(pontic-shield technique:PST)4とSSTを併せて、PET(partial extraction therapy)と総称した5(図1)。 SSTの最大の利点は、前歯部での隣接するインプラント症例において唇側の硬・軟組織の形態保持のみならず、歯間乳頭を温存できることが挙げられる。 2017年に発刊した5-D Japanの仲間との著書1の中で、筆者は以下のようなエピローグを書いたので、その抜粋を今一度紹介したい。 「Minimum invasive surgery(以降MIS)については医科・歯科共通の認識で、読んで字のごとく“低侵襲手術”を意味し、医科では内視鏡などを用いて最小限の切開・最小限の腫脹に抑えると同時に、当然のことながら従来の手術結果と同等の結果が得られなければならない。その結果、短期間の入院で済み、患者が早く社会復帰できるというメリットもある。つまりMISの目的は、患者のQOLの向上にある。歯科においても、マイクロスコープが再生療法や軟組織へのアプローチに応用され、MISを達成できる治療法が確立されつつある」 インプラント治療においても、MISを意識しながら個々の患者の審美的要求度に応えた治療術式を行うことが求められる。今回の年次ミーティングでの講演テーマは、それぞれの先生方の「外科術式 こだわりを語ろう!」であった。そこで筆者のオリジナルテクニックである、64Partial Extraction Therapy(PET)はじめにシンポジウムⅡ図1 PET(partial extraction therapy)とは、RST、PST、SSTの総称である。(文献4より引用・改変)1987年 広島大学歯学部卒業1998年 なぎさ歯科クリニックを移転開業米国歯周病学会(AAP)、米国インプラント学会(AO)、EAO、EAED、5-D Japanファウンダー船登彰芳Akiyoshi Funato石川県開業Pontic-shieldSocket-shieldRoot submergenceApplication of tooth roots with periodontal ligamentin dental implantology
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