DIGITAL×ORTHOデジタル矯正歯科フロントライン2025/2026
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口腔顎顔面矯正学分野]渡邉佳一郎[徳島大学大学院医歯薬学研究部24技術進歩による利益、そしてなおも大切なこと近年、デジタルデンティストリーは急速な進化を遂げ、矯正歯科における診断や治療計画立案においてもその影響は多大なものとなっている。特に口腔内スキャナー、顔面3Dスキャン(フェイススキャナー)、CBCT(コーンビームCT)、そして3Dプリンタといった技術の進化により、従来のアナログ方式では実現できなかった精度とスピードが飛躍的に向上している。これによって治療の予測実現性が高まり、患者にとっても理解しやすい治療計画を提示できるようになっただけでなく、歯科医師にとってもより効率的で正確な診断と治療が可能となった。さらにデジタル技術は、単に診断や治療計画にとどまらず、治療全体のワークフローを大きく変革している。たとえば、デジタル技術を用いた検査やデータ収集は、以前よりも迅速かつ正確に行うことができ、複雑な症例においても効率的にデータを取得し、分析を行う基盤を提供している。また、データの統合と解析においても、さまざまな情報をひとつのプラットフォームで管理することで、患者ごとの個別化治療が進んでいる。このような技術的な進歩は、歯科医師の臨床能力を補完するツールとして非常に有益であるが、一方でその正確性と信頼性を維持するためには、デジタル技術そのものを深く理解し、適切に活用するスキルが必要とされる。デジタル技術がもたらす利便性を享受する一方で、その限界やリスクを把握し、臨床現場においても適切に対応することが重要となっている。検査技術と統合データ解析の進化口腔内スキャナーや顔面3Dスキャン技術の進化は、歯科医師にとって革新的なツールとなり、患者の別冊 the Quintessence × JAO日本版 | DIGITAL × ORTHO デジタル矯正歯科フロントライン2025 / 2026デジタル技術は矯正歯科に何をもたらしているのかSPECIAL FEATUREデジタル技術が変えるこれからの矯正歯科治療デジタル矯正歯科で何が変わる?

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