QASTEPすい上顎第三大臼歯がベター)を,その移植歯よりも図1 初診時の口腔内写真.₅が歯根破折により他医院にて抜歯.₈に矮小第三大臼歯が抜歯されずに残っていて運命を感じた.図2a ₈を抜歯し₅の抜歯窩へ移植し,縫合.その後にパックした.手術時間はわずか30分程度.図2b 同デンタルエックス線写真.抜歯窩は,近心壁をわずかに削合したのみ.歯根膜の付着位置が骨頂より深くならないよう注意.やや大きめな幅と高さを有する抜歯窩に移植すれば骨を削合する量も少なく,簡単に,短時間で,予後も良好な結果が期待できる(図1〜7)1〜4. そのような症例から始めて成功体験を繰り返すことで,移植に対する自信をつけていくとよいかと思う.間違っても,複根歯や湾曲歯などを移植歯として選び,欠損部の既存骨を削合して移植するというような難易度の高い症例を最初に選ばないこと.検査・診断執筆:佐藤俊一郎 自家歯牙移植というと,難しい,時間がかかる,治癒に自信がないなどのイメージをもたれる方が多いかと思う.確かに難易度の高い症例を最初に選んでしまうと,たいへんな思いをしてもう二度と行いたくなくなるし,治癒の予後も悪いことが多くなり,自信を失ってしまう.そのため,まずは移植歯の歯根膜がダメージを受けないよう,簡単に抜歯できる凹凸の少ない先細りの単根歯(海綿骨が多く,抜きや初めて移植をする場合は適応症を守って,移植歯は単根歯を選び,移植歯よりもやや大きめな抜歯窩に移植することをお勧めする.初めての移植は,どのような症例から始めるとよいですか? 難易度が高い症例は?①症例141別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2025」01
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