YEARBOOK 2025 8ステップで学ぶ! 自家歯牙移植Q&A
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Proclin Rotterdam, Clinic for Periodontology, Endodontics and Restorative DentistryCorrespondence:Prins Alexanderplein 10, 3067 GC Rotterdam, The NetherlandsThe Power of the Periodontal Ligament:Subperiosteal Storage of a Permanent Incisor Before Autotransplantation, A Case Reportキーワード:自家歯牙移植,症例報告,歯根膜,学際的治療,根管治療26特別寄稿 from The NetherlandsDick Barendregt,Eggink Edwin,Manfred Leunisse別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2025」抄録 本稿は,下顎右側側切歯および犬歯の位置異常をともなう矯正歯科治療適応の成人歯科治療の症例報告である.下顎右側犬歯を適切な位置にするために,下顎右側側切歯を抜歯する必要があった. 下顎右側側切歯歯根膜の生存性を保つために,同歯は一時的に上顎右側頬側部の骨膜下内で保存した.この処置を行う前に,下顎右側側切歯には根管治療が行われた. 6週間後,下顎右側側切歯はその歯肉縁上に徹底したデブライドメントが行われた後に抜歯され,直ちに骨膜下に保存された.アクセスは,小さな切開と結合組織を貫通するトンネル形成によって行われた.14か月後,下顎右側犬歯は固定式矯正装置を用いて意図する位置に移動され,骨膜下から取り出された.この部位には下顎右側側切歯を覆う歯槽部の形成がみられた.移植後,逆ループの水平マットレス縫合で下顎右側側切歯を固定し,さらにコンポジットレジンでその切縁を固定した. 術後検診は,1,3,6週間後に行われた.3週間目にプロービングを行い,軟組織の治癒を評価した.良好な治癒が得られたため,歯根膜に矯正力を加えて荷重を開始した.その後,臨床およびエックス線写真による評価のために,矯正歯科治療中は3,6,12か月後に,そして移植後5年までは1年ごとに患者は来院した. 最終的に,本症例における治療アプローチは,歯槽骨を含む歯槽複合体自体を再生させたことで歯根膜の潜在的可能性を示した.また,根管治療後の完全な形をとどめた歯を骨膜下に保存するという選択肢は,本症例と同じような他の症例においても実行可能であることが示された.さらに本症例は,患者にとって最適な結果を得るためには,歯科専門医による個別化された治療計画と学際的なアプローチが重要であることを示している.歯根膜の“力”自家歯牙移植を行う前の側切歯の骨膜下保存(症例報告)

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