表❶ プレゼンテーション成功のステップ(参考文献1)より引用改変)信頼関係ができていないうえに、相手の状況を考えず、一方的に伝えたいことだけを伝えたがために、患者さんは理解も納得も了承もできないまま帰ってしまったのかもしれません。プレゼンテーションには目的の設定と準備が必要です。目的を設定する今日のゴール設定•認識レベル•意見・態度•特性と相互関係•事前情報でわからないこと•感情面など聴き手を理解する足りない情報を補う質問を考える•何を伝えるか (どこから?)•どのように伝えるか (何を用いて?)•相手に聞く•相手に伝える聴き手の導き方を決めるプレゼンを実施する•患者さんが自分の口腔内に興味をもち、清潔に保ちたいと感られるようになる•聴き手の情報分析を行い、仮説を立てる•仮説を用いて、質問を考える•返ってきそうな答えを予想する•その答えに対してさらなる質問をし、理解を深めていく•聴き手の情報から、話をどこから始めるか、どの順番で伝えるか•どういったシチュエーションで伝えるか•何か媒体や資料は使うのか•ラポール構築をする•考えた「足りない情報を補う質問」をする•必要な情報を必要なタイミングで伝える•相手の感情に寄り添う1.目的設定 ケース1の場合、あなたならどのような目的設定(=ゴール設定)をしますか? プレゼンテーション成功のステップを表1に示します。「デンタルフロスを使ってもらう」で本当によいでしょうか。デンタルフロスはひとつの手段ではありますが、目的ではありません。 今回は「患者さんが自分の口腔内に興味をもち、清潔に保ちたい、と感じられるようになる」と目的を設定します。2.準備:聴き手の理解 まず、カルテやこれまでの情報から事実を確認します。患者情報:55歳・女性、初診は2023年5月(現在は2024年12月)。主訴は「右下の詰めものが取れた」。処置は5にセラミックインレーをセット。そこから半年に1回の定期健診に来院。歯科衛生士実地指導では、PCRは30~40%で推移。更年期障害があり、親の面倒も見始めているので、いらいらしたり、自分にそこまで手がかけられていない。これまでに担当した歯科衛生士からデンタルフロスの提案をしているが、「過去にフロスで詰めものが取れたので、フロスをするのは気が進まない」との記載あり。スタッフや患者さんとの効果的なコミュニケーションスキルを身につけよう73 目的設定と準備
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