口腔機能“実践”読本 口腔機能低下症&口腔機能発達不全症
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adbecfhig図1a〜i 初診時の口腔内所見.欠損歯はほとんど認めなかったが,歯面の着色やプラークの付着を多く認めた. 患者は口腔内検診とメインテナンスを希望し来院しました.初診時の口腔内所見(図1)では,歯肉の発赤や腫脹は少ないものの,歯表面の着色や歯面のプラーク付着が多く認められたため,歯周基本治療を行う方針となりました. 歯周基本治療開始後,治療中の咳嗽が多いことが気になりました.咳嗽が出るのは口腔内への注水時や臥位の時だけではなく,座位の姿勢の時にも認めました.もともと患者自身もむせを自覚しており,歯科治療時には歯科用ユニットの横に持参した飲料を置いている状態でした.どのようなものを摂取した時にむせが多く出るか聞いたところ,生野菜や汁3725.79kg/m2身長148cm体重56.5kgBMICHAPTER2 口腔機能に対する取り組みの実例から学ぶ物を食べると必ずと言っていいほどむせるため,あまり食べないようにしているとのことでした. 口腔内検査の際に,舌が比較的低位に位置しており,舌縁に歯圧痕があることが気になりました(図2).低位舌は舌の汚染や舌圧の低下につながることがあります(図3).むせが多いという申告もあったことから,口腔機能の低下があるのではないかと推察し,口腔機能精密検査の実施を提案しました(図4). 検査結果は7項目中の3項目(口腔衛生,舌口唇運動,舌圧)に機能低下が認められ,口腔機能低下症に該当しました(図5).●初診時の状態

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