bde①②③④1は歯頚線が不調和になっている。a図5-21a、b 初診時正面観(a)。重度な垂直欠損と₂₁間の歯間乳頭の完全な欠損、₁のRT3のリセッション、正中の歯間乳頭の退縮にともなう歯頚ラインの不調和が審美性を大きく損なっている。スマイル時(b)にはブラックトライアングルが目立つ。188 ここから供覧する症例は、ハイスマイルを有する患者における、中切歯および側切歯連続欠損が三次元的な硬・軟組織の重度な喪失をともなって発生し、さらに隣在中切歯の近心に著明なアタッチメントロスによる歯間乳頭の喪失とCEJの露出を認める、きわめて困難な症例であった(図5-21)。 患者は30歳女性。過去に外傷により21を失いインプラント治療を行ったがインプラント周囲炎によって骨吸収が進行し、軟組織の退縮にともなって審美性が低下し、改善を求めて来院した。骨吸収はインプラントの先端付近まで進行していた。インプラントのサイズおよびポジションが最適ではないため撤去とし、軟組織の治癒後に歯槽堤を再建し、再度インプラント治療を行うこととした。 インプラント撤去後4ヵ月の状態では欠損部歯槽堤は重度に三次元的な吸収を示している。隣在歯には付着の喪失があり、歯間乳頭は低下し、隣接面のCEJが露出している。それにより3 本症例の問題点は重度の三次元的な欠損に加え、正中歯間乳頭の低下である。隣接面のCEJが露出し近心CEJ直下の歯間乳頭頂は唇側のCEJより低くなっている。診断用テンプレートは実現可能な形態を再現し、それを装着したCTを含むX線検査からはインプラントの同時埋入は困難と診断され、非吸収性膜を応用したGBR後、スペースマネジメントとして1近心側を修正する計画を立てた。きわめて困難な上顎前歯部の硬・軟組織マネジメント図5-21f 診断用テンプレート。ロングコンタクトとし、実現の可能性が高い形態となっている。図5-21g①〜④ GBR術前のX線検査では重度の垂直性骨欠損と隣在歯の欠損側に歯槽骨欠損を認める。図5-22c X線写真では既存インプラントの根尖付近まで骨吸収が達している。図5-21d、e 軟組織は十分に治癒しているが、インプラントを撤去したことにより、さらに欠損は大きくなっている(d)。側方面観(e)では隣接面のCEJが完全に露出している。犬歯の歯肉ラインも近心が低下し不整である。歯槽堤上へのCTGにより歯間乳頭を再建した症例
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