硬・軟組織マネジメント大全
4/6

図3-18a 切開線は形成されるラテラルウィンドウよりも5mm以上距離を保ち、骨面上に設定する。歯槽頂切開は残存骨高径が少なくなるほど口蓋側に移動する。図3-19a ボーンスクレイパーは構造上、骨面表層を徐々に削り取るので、洞粘膜を損傷するリスクは極めて低い。図3-18b 近心縦切開の設定。₅はこの後に抜歯となる。頬側に上顎洞が拡大しているため、ウィンドウは₅頬側まで達する。したがって、本症例では₄近心に縦切開を設定した。図3-19b スクレイパーでおおよその削除ができたら、大きめのダイヤモンドラウンドバーをフェザータッチで使用することにより繊細に骨表面を切削する。この時、骨を完全に削除する必要はなく、ハンドインスツルメントで残存骨片を弾くことができれば十分である。3章 上顎臼歯部105 近心縦切開:洞粘膜の剥離は近心部の操作中に穿孔を起こ 遠心縦切開:上顎洞底挙上術の後方限界は、基本的に歯のしやすい。ウィンドウの近心ラインは上顎洞の近心端に近接して(3mm以内)設定されるべきで、結果的にフラップの近心縦切開は上顎洞近心壁よりも1歯分以上離して設定する。欠損範囲による。つまり、最後方のインプラントの位置によって決定される。後方に残存歯があれば1歯離した部位に、遊離端欠損であればウィンドウ後端よりも5mm以上後方となるように設定する。 ■ステップ3:ウィンドウの形成(図3-19) ウィンドウの形成は、部位さえ間違えなければ処置自体はシンプルである。専用のバーなどが紹介されているが、個人的には必要性を感じたことがない。外側壁の厚さはさまざまであるが、基本的にボーンスクレイパーでウィンドウ部の骨を洞粘膜が透けてくるまで削り、自家骨を採取する。本症例では、外側壁はおよそ1mm程度で、ウィンドウ形成時にある程度の自家骨が採取できた。症例によっては剥離後、上顎洞の概形が予測できるほど薄い場合がある。上顎洞は5の頬側まで広がっているため、ウインドウの近心側は5の頬側にまで達する必要がある。 ■ステップ4:洞粘膜の剥離(図3-20) 上顎洞底挙上術の術式中もっとも難度のバリエーションが高いステップである。外科の基本は直視直達であるが、上顎洞底挙上術はブラインドの操作が不可欠となる。つまり剥離子が骨面に沿って操作されていることを、手指の感覚で探知できることが求められる。 基本的にユニバーサルキュレットなどの繊細な器具で粘膜表面に薄く残存する骨片を弾き、下方から遠心、必要に応じて上方、近心へと剥離を進める。繰り返すが、つねに剥離子の先端は骨面に接触していることが大原則である。外側から

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る