硬・軟組織マネジメント大全
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図3-16e 抜歯即時埋入予定の₅頬側には上顎洞が進展しているため、ウィンドウは歯根と重なる位置に設定される。表3-1 筆者が考えるウィンドウ形成の位置前方基本的には上顎洞の粘膜挙上範囲の近心端付近下方上顎洞底から3mm以上、上に離れた位置上方器具が操作できる最小範囲;下方ラインから4〜後方器具が操作できる最小範囲;前方ラインから8mm5mm程度程度で洞内の形態によって変化する図3-16f ₅部のクロスセクショナル像。歯根の上顎洞内への突出によって、ソケットの口蓋側において洞粘膜を剥離することは容易でないことがわかる。図3-17 ウィンドウの辺縁とインスツルメントが干渉することによって、洞底部の凹凸に追随できなくなる。手指の間隔では先端は骨面に沿っていると錯覚する可能性がある。これが、剥離中に洞底粘膜を穿孔する最大の原因である。図3-16g アキシャル像では₄の口蓋側まで上顎洞が進展していることが確認される。この部位まで器具を到達させるのは困難である。 剥離操作でもっとも重要なことは、剥離子の先端がつねに骨面に触れていることであるが、ウィンドウが小さすぎるとインスツルメントの先端以外がウィンドウにあたり、先端が骨面から離れていても、接触していると錯覚することがある(図3-17)。このような場合に粘膜の穿孔が発生する。不慣れな場合は十分に大きなウィンドウを形成するほうが安全104で、結果的に手術時間の短縮になる。ウィンドウは小さいほうが低侵襲で骨伝導にとっても有利であるが、必要十分な大きさを確保することが大原則である。 ■ステップ2:フラップデザイン(図3-18) 歯槽頂切開:切開線は形成されるラテラルウィンドウよりも5mm以上距離を保ち骨面上に設定することによって、たとえ治癒不全が起こったとしても、口腔上顎洞瘻孔の発生を防ぐことが重要である。したがって、歯槽頂切開は残存骨量高径が低くなるほど口蓋側に移動する。しかし、同時に歯槽堤もGBRによって増大する場合、切開線はメンブレン上で縫合される。さらに、上顎は下顎と異なり口蓋側のフラップを減張できないため、切開線は歯槽堤欠損量に応じて頬側へ移動する。つまり、GBRにおけるフラップマネジメントが優先され、それが上顎洞底挙上術の成否を決めることになる。↓

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