な~みんのSRP”あるある“お悩み解決講座
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Chapter 2 SRP実施前の注意事項 本項では、「歯周ポケット内イリゲーション(洗浄)のタイミングと適応症例の経過」を解説します。咬合性外傷を伴う上顎大臼歯部にⅢ度の根分岐部病変が進行したものの、長期に安定している症例です。【症例】 咬合性外傷を伴う上顎大臼歯部にⅢ度の根分岐部病変が進行1)患者:54歳、男性。会社員初診:2008年5月(図1)性格:まじめ喫煙歴:非喫煙者主訴:歯肉からの出血1.デンタルX線写真から読み取る 54歳という年齢で、767にⅢ度の根分岐部病変および骨縁下欠損、歯肉縁下歯石の付着、5には根尖病変が認められ、歯槽頂部歯槽硬線はほぼ不明瞭でした(図2)。また、過蓋咬合により臼歯部にかかる咬合力が大きいため、力の影響が疑われました。動揺歯には歯根膜腔の拡大が認められ、764〜7は咬合性外傷(Chapter 6 参照)と診断されました。2.歯周組織検査表から「炎症型」か「咬合型」かを診る Chapter 6 では、池田雅彦先生が提唱する“プロービングチャートから深い歯周ポケットが存在する位置により、炎症型か咬合型かを診査する方法”2)を紹介します。それを参考に本症例を診ると、深い歯周ポケットが頰舌側面や根分岐部病変にみられ、とくに後者が口蓋側面に認められるため、咬合型と考えます。とくに、根分岐部病変を抱える上顎大臼歯部は、歯周炎を改善するのに時間と努力を傾注してもよい結果を得にくく、近い将来に歯を失う可能性が高いと考えました。3.治療計画 歯周基本治療を進めながら、5には歯内治療を行い、臼歯部への咬合力と干渉の負担が与える歯周組織への影響を軽減するためのバイトプレートを作製し、力の問題を観察することにしました(図3)。また、来院のたびに大臼歯の炎症と力の状態を確認し、コントロールする必要があると考えました。上顎大臼歯部には根分岐部病変があるため、歯周外科治療が必要で、連結補綴を検討しましたが、いずれは048適応症例の経過歯周ポケット内イリゲーション(洗浄)のタイミングと 04

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