図1 レジンアームで同じ維持力を発生させるためには,片側のみ(a)と両側(b)では,必要とするアンダーカット量()は異なる.単純化すると,両側にレジンアームがあるほうが半分のアンダーカット量ですむため,レンジアームへの負担も少なくなる.質問08074【くわしい解説】 たしかに歯の頬舌側をレジンアームで囲う場合と,舌側をメタルアームにして頬側をレジンアームにした場合を比較すると,メタルフリーにしたほうが,破折や維持力という点でクラスプへの負担は少ない. 単純に考えると,適切な維持力を得るために0.5mmのアンダーカットが必要であるとした場合,舌側にメタルブレーシングアーム(把持腕)を付与したときには頬側に0.5mmのアンダーカットが必要であり,レジンアームは大きく変形する(図1a).一方,頬舌ともレジンアームであるとそれぞれ0.25mmのアンダーカットで済むたPART 2 ノンメタルクラスプデンチャーの製作テクニックabaskanswer0.25mmアンダーカット域0.5mmアンダーカット域最大豊隆部最大豊隆部0.25mmアンダーカット域0.5mmアンダーカット域め,それぞれのレジンアームにかかる負担は少なくなる(図1b). しかし,本書でも示したが,支台装置の保全を考えた場合,義歯自体が頬舌的・水平的に動きにくいようにするために,メタルの併用が必要な場合は多い.大切なのは,樹脂の疲労の範囲内で維持力を得るための適切なアンダーカットを確保することである. 両側設計の場合は,舌側部にメタルクラスプを付与したとしても両側の頬側でアンダーカット量を分配できるため,レジンアームへの負担は少なくなると考える. レジンアームと負担金属を併用するよりもメタルフリーにしたほうが,レジンアームに負担がかからないのではないですか? メタルフリーの義歯はレジンクラスプへの負担が少ないですが,支台装置の保全を考えるとメタル併用が必要な場合が多く,適切なアンダーカットを確保することが重要です.
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