ノンメタルクラスプデンチャー 増補新版
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可可弱中強強表3 日本国内で認可されているノンメタルクラスプデンチャー用樹脂の特徴.注:評価は参考文献8~10をもとに主観的評価.チェアサイドでの修理は,シリカコーティングサンドブラスト+スーパーボンドで可能な場合がある.樹脂分類ポリアミド系(ナイロン系)ポリエステル系ポリカーボネート系ジェット・カーボジェットカーボ-Sアクリル系ポリオレフィン系樹脂商品名アクリ:トーンウエルデンツデュラフレックスアンダーカット量目安(mm)破折強度変色・傷0.5-0.75バルブラスト0.25-0.5アルティメット0.5-0.75バイオ・ブラスト0.5バイオ:トーン0.5アンカーアミド0.5サーモセンス0.25-0.5TUM-タム-0.25-0.5アミド・デ・ショットエステショットブライト0.25-0.5最強強最強強強強強強中0.25-0.50.25-0.50.25-0.50.50.5中変色(++)・傷(++)変色(−)・傷(±)変色(++)・傷(++)変色(+)・傷(+)変色(+)・傷(+)変色(−)・傷(+)変色(−)・傷(±)変色(−)・傷(±)変色(+)・傷(+)可変色(−)・傷(±)変色(−)・傷(±)変色(−)・傷(±)可変色(不明)・傷(++)変色(不明)・傷(不明)チェアサイドでのリライン・修理不可可(接着プライマー)不可不可不可不可可(接着プライマー)可(接着プライマー)不可不可CHAPTER 2 ノンメタルクラスプデンチャーの樹脂の種類017る.ただし,同じ条件で樹脂を比較した論文がないため,それぞれを単純に比較することはできない.また,改良された新しい樹脂がつぎつぎに販売された経緯もあり,客観的な評価とはいえないが,比較的共通している点について解説する.表3は現在日本国内で販売されているノンメタルクラスプデンチャー用の熱可塑性樹脂の主観的評価をまとめたものある8~10.■ポリアミド系樹脂は,ノンメタルクラスプデンチャー用の樹脂のなかではもっとも古い歴史があり,数多くの種類がある.バルプラストはその代表であり,ナイロン系樹脂ともよばれている.■他の樹脂よりも柔らかく,破折しにくく,装着感がよい.■しかし,着色しやすく,調整や修理がしにくいとされている6.■曲げ強さ・曲げ弾性率をみると,「柔らかい群」(バルプラスト,バイオ・プラスト,)と,「比較的硬い群」(アルティメット,TUM,アンカーアミド)および「中間的な群」(フレックススターV,バイオ:トーン,アンカーアミド,ベルテックスサーモセンス,ベイシスエラスト)に分かれる.臨床的には歯の豊隆の程度でどの材料を使うかの選択基準になっていることが多い.■ポリアミド系樹脂は,常温重合レジンとは直接接着しない.したがって,修理あるいはリラインは,原則的に技工所に預けて再成形する必要があるが,シリカコーティング,4-META/MMA-TBBレジンによる表面処理3~5,あるいはメーカーが販売している専用の接着プライマーによって,直接修理することもできるようになった(→P167参照).■その他,吸水性については,それぞれの樹脂で違いがあるが,PMMAレジンより格段にすぐれているわけではない.■バルプラスト,バイオプラストは,他の樹脂よりも着色しやすい.■適合精度に関する報告は少ないが,決して良好とはいえないため,多数歯欠損症例にはでは注意が必要である.ポリアミド系樹脂

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