難易度低高4.114▶パーフォレーションの部位別分類(1)(2)(4)(3)(5) パーフォレーションは,日常臨床で遭遇する代表的な人為的トラブルの1つである.近遠心方向のものであればデンタルエックス線画像で確認できるが,頬舌方向のものは根管充填材によりマスクされており,予測不可能な場合も多い. パーフォレーションに対しては,基本的に人工的に形成された根管がもう1根存在すると考えればよい.ただし,根尖最狭窄部は存在しないため,感染根管に対する考え方にならい,歯根膜と接する位置まで拡大・形成を行うことになる.本来の根管と併せて理想的な拡大を行い緊密な封鎖を達成できれば,治癒に導くことが可能となる.また,パーフォレーションは回転切削器具によるものがほとんどであるため,その水平断面はほぼ正円形を呈していることが多い.天然歯の根管にみられるイスムスやフィンのような複雑な形態をしていないため,根管拡大はそれほど難しくないといえる. パーフォレーションリペアの難易度はパーフォレーションの位置によってほぼ決まる(図13).天然歯の分岐根管と同様に,より根尖側に位置するパーフォレーションほど難症例といえる.歯根中央部より根尖側にパーフォレーションが存在し,本来の根管が未拡大のまま残っているケースなどはとりわけ難易度が高い. では,難易度別(部位別)に症例とその対応を提示してみたい.(1)髄室(2)根管口直下(髄床底を含む)(3)歯根中央部(4)ストリップパーフォレーション(5)根尖部図13 パーフォレーションの部位によって難易度は異なってくる.根尖部のパーフォレーションには外科的対応を図ることも多い(倉富覚、.症例の難易度を読む─何がその症例を難しくしているのか? パーフォレーション症例.日本歯科評論.2018;78(4):100より引用改変).(1)髄室(2)根管口直下(髄床底を含む)(3)歯根中央部(4)ストリップパーフォレーション(5)根尖部パーフォレーション
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