22▶健康な歯周組織のエックス線画像 診査のなかでもとくに多くの情報を与えてくれるのがエックス線画像診査である.画像診断の基本はデンタルエックス線画像であり,適切に撮影されたデンタルエックス線画像は情報の宝庫であるが,た いうまでもなく画像診断とは得られた画像のなかから異常像を見つけ出す作業である.いち早く異常像を察知するためには,まず健康な歯周組織の正常像とはどういったものであるかをしっかりと頭に入れておかなくてはならない(図3). この5項目には画像診断における読影のポイントが凝縮されており,デンタルエックス線画像を見たら必ずこれらの項目をチェックする癖をつけておくだ漫然と撮影を行えば有益な情報が得られるというものではない.いかに多くの情報を引き出し,有効に活用できるかは適切な撮影方法と歯科医師の読影力にかかっている.ことで,読影力が向上することを保証する.これら5項目のなかでもとくに歯内療法に関連する項目は3,4,5の項目であるが,条件によっては根尖病変があるにもかかわらず,エックス線透過像として現れないケースがあるため,根尖部の透過像だけでなく,歯根周囲の硬化性骨炎(不透過像)に着目すると根尖病変の有無を推測しやすい.図3 筆者の師である下川公一先生が提唱された正常像の基準.歯科治療における画像診断の基本がこの5項目に凝縮されている[下川公一(監著),倉富覚、(著).長期経過症例から紐解く根尖病変と骨縁下欠損 その傾向と対策.東京:クインテッセンス出版,2021;46より引用].1歯根全体が歯槽骨内に植立されている.2鮮明な歯槽頂線と歯槽硬線が直角的に連続して認められる.3鮮明な歯槽硬線と歯根膜腔が薄く均等な幅で認められる.4鮮明かつ明瞭な歯槽骨梁が確認できる.5上顎では上顎洞底線が明確に認められる.(下川公一先生による)(1) 正常な歯周組織のエックス線画像を知っておく2.画像診断のポイント
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