悩めるエンド難症例 診断のポイントとその対応
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20▶歯内療法の診査項目・主訴(痛みの種類)・現病歴(いつからどのように痛むのかetc.)・既往歴(いつ頃どのような処置を受けたか,外傷etc.)・視診(腫脹,サイナストラクトの有無,咬合状態)・打診(歯周組織への波及)・聴診(アンキローシスの確認)・触診(根尖部圧痛,動揺度)・歯髄電気診・切削診・歯周ポケット検査 これはわが師・下川公一先生がつねづねおっしゃっていた名言である.歯内療法にかかわらず,すべての医療行為の背景には確固たる理由が存在しなければならない.それこそが“診断”であり,いい加減な診断のもとに行われる治療は単なる傷害行為であり,医療行為と呼べるものではない.感染根管処置において難症例となる大きな要因の1つに“診断の誤り”がある.誤った診断を正しいと思い込み,無駄な時間と労力を費やした挙句,患者さんからの信頼をなくすことだけは避けたいところである.診断を確定するための情報収集である診査項目は,基本的にどれ一つとして欠かせない事項である(図1). たとえば,患者さんが「痛み」を主訴で来院された場合,自発痛・咬合痛・根尖部圧痛なのか,持続痛・間欠痛なのか,また痛みのレベルはどれくらいなのかなど,「痛み」の種類にはさまざまな違いがある.患者さんは一律に「痛い」という表現を使うが,各診図1 歯内療法に関する診査項目.とくに重要視しているのは歯髄が根尖まで失活しているか否かである.失活歯と診断したなら無麻酔で処置を行うことも重要な診査項目の1つである.歯内療法の診査項目歯髄のvitalの有無を確認診断なくして治療なし1.

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