悩めるエンド難症例 診断のポイントとその対応
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1.12根管形態に起因するものエンド難症例の原因起因するもの病態に 原則的に感染根管処置では,根管内起炎因子の除去を図ることができれば,生体の治癒機転が働き炎症は改善される(図1).しかしながら,通法の治療を行っても症状が改善しないことも決して珍しいことではない.同じコンセプトのもと,同じ術式で行っているにもかかわらず,反応に大きな違いがあることが歯内療法の興味深い点であるが,逆にそのこと診断の誤りに起因するものが大いに頭を悩ませることになる. また,さまざまな理由によって理想とする治療を行うことができない場合があり,そのようなケースでも芳しくない経過をたどることが多い.本書ではそれらをエンド難症例として取り扱っていきたい. 難症例の原因を筆者なりに分類したものを図2に示す.人為的な要因に起因するもの図1a 初診時(2007年10月25日).₁に根尖病変を認め,起炎因子の徹底除去を図った.図2 筆者が考えるエンド難症例の原因.図1b 初診より9年(2016年7月25日).₁の根尖病変は消失している.₂も失活し,同様の処置を行った.図1c 初診より17年(2024年5月17日).₂₁はともに生体の治癒力によって安定した状態となっている.▶感染根管治療17年経過のケース▶エンド難症例の原因いわゆる難症例とは

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