2下顎吸着義歯のために必要な 10耐圧面積を拡大し、義歯内面を広く顎堤に密着させることで義歯の維持と安定を得る筋の付着部位を辺縁とする術者誘導型の印象採得図1 従来型の義歯と吸着義歯のコンセプトの比較(齋藤善広先生〔くにみ野さいとう歯科医院〕・須藤哲也先生〔Defy〕製作による模型〔ニッシンT6-X.1301、ニッシン〕をスキャンして製作した下顎総義歯)。義歯床縁部の全周を可動粘膜で封鎖し、義歯内面を陰圧にして、義歯の維持と安定を得る全周が粘膜で覆われる位置を辺縁とする患者主導型の印象採得はじめにウンドを用いて筋圧形成を行って製作する義歯は、耐圧面積を広くとることで維持安定を図ることをコンセプトとしている。一方、吸着をコンセプトとする義歯では、機能時に義歯床縁を全周辺縁封鎖することで維持安定を図っている2、3(図1)。 では、機能時とはどのような時であろうか。これは、おもに咬合時・咀嚼時・嚥下時などを指し、閉口時に行われる。特に下顎総義歯の吸着のために重要なのは、義歯床縁全周を粘膜で完全に封鎖することである。1ヵ所でも封鎖されていない箇所があると、そこから陰圧が壊れてしまい、吸着は得られない。Part1 なぜ、下顎総義歯の印象採得の話題は尽きないのか従来型義歯吸着義歯執筆:永田一樹 日本補綴歯科学会の専門用語集1には「機能印象」は“義歯の機能時に義歯床下粘膜に咬合圧をできるだけ均等に負担させるために、被圧変位量に応じた力で加圧し、さらに顎堤周囲可動組織の動的状態をも記録することを目的とした印象”とある。また、「筋圧形成」は“有床義歯において、機能時の頬・口唇・舌の動きに調和した義歯床縁形態を得るために、それらの動的な状態を、モデリングコンパウンドなどを用いて記録する印象操作”とある。前項で述べたように、従来型のおもにモデリングコンパ従来型の義歯と吸着義歯のコンセプトの比較下顎閉口機能印象とは?
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