改訂版 インプラント外科nolink
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 上顎前歯部では,前述のveneer graftにおけるブロック骨をonlay graftも兼ねるように,下顎枝部からJ-graft55用に採取してsaddle graftとし,口蓋側骨欠損には粉砕骨を移植する(図9).また,骨欠損が大きい症例では,オトガイ部の皮質骨と海綿骨が一体化した約10mmの厚みのcorti-co-cancellous blockをsaddle graftとして用いることにより,垂直的骨造成が可能となる(図10). 自家骨移植による垂直的骨造成の際は,術後の骨吸収を考慮して,最終補綴装置の歯頸部ラインの高さまでover-graftingすることにより,理想的なインプラントポジションを確保できる.垂直的骨造成量が多い症例では口腔前庭が浅くなり,かつ唇側に角化粘膜が消失する.この問題の解決策としては,遊離粘膜移植よりも血行が保たれた有茎口蓋弁(vascularized pedicle palatal flap)が有効である(表1).また,分層弁による根尖側移動術(apially repositioned flap)も有用である.1229-1図9-1,2 初診時.上顎右側中切歯・側切歯の歯牙破折とエプーリスが認められた.図9-3 初診時のデンタルエックス線写真.上顎右側中切歯・側切歯の歯牙破折と歯根嚢胞が認められた.9-2J-graftによるsaddle graft症例改訂版 インプラント外科 動画で理解! 基本手技と自家骨移植のポイント上顎前歯部垂直的骨造成

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