PRD YEARBOOK 2024
8/8

図13 SVBAから6か月後の口腔内写真。メンブレン直下まで表面滑沢で充実した骨様組織が水平的にも垂直的にも満たされていることから、硬組織の治癒過程に問題が生じなかったことが示唆される。図14 ₇₆₅のインプラント埋入時の咬合面観(a)。まだ幼弱な造成骨周囲に追加の骨補填および骨質を向上させる効果を期待して自己血漿由来フィブリンゲル(PRF)を塗布した(b)。追加の骨補填材料を吸収性メンブレンで被覆した(c)。デンタルX線写真所見では移植骨の不透過性が亢進していることが確認される(d)。abcd別冊the Quintessence PRD YEARBOOK 2024Ⅲ インプラントの長期安定におけるGBRの有効性:20年経過時点でのインプラント生存率/山道信之/山道研介167167填材料および治癒促進効果を期待してPRFを塗布し(図14b)、吸収性メンブレンで被覆した(図14c)。デンタルX線写真ではSVBA直後と比較して骨造成領域の不透過性の亢進が確認された(図14d)。上部構造装着後18、19年までは問題がなく経過したが(図15〜18)、上部構造装着後20年経過直後、歯肉の腫脹・発赤・疼痛などの炎症の兆候はまったくなく₆のインプラントが突如として脱落した(図19a)。脱落したインプラントでは、とくに根尖部から中央をはじめ、スレッドの全周にかけて陽極酸化処理部の変色を認めた(図19b)。₆インプラント脱落後のデンタルX線写真とCBCT画像では、インプラント窩周囲に特徴的な一層の皮質骨様不透過像を認めた(図20)。₆インプラント脱落から6か月後、硬軟組織の治癒期間を設けて、再度インプラント埋入(DCD implant φ5.0-11.5mm[Zimvie])を行った(図21)。この時点で患者は89歳と高齢であったが、追加の骨造成をすることなく、以前埋入していたものよりも直径の大きなインプラントの埋入が可能であった。₆の再埋入から5か月後にジルコニアのス

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る