図3 Prof. Urbanによる上顎前歯部の水平・垂直的骨造成(『Vertical 2』5より引用)。骨移植材料を用いて唇側および口蓋側への水平的骨造成を十分に行いながら、歯槽頂までの垂直的な骨の増大を図る。RPMでスペースメイキングし、チタンピンでタイトに固定することにより、移植材料は安定し、6か月後には十分な高さと幅、さらに優れた骨質の歯槽堤を獲得することができる。別冊the Quintessence PRD YEARBOOK 2024Ⅰ 水平的および垂直的骨造成におけるGBR の有効性とその評価/松野智宣141141・ メンブレンの適切な固定による移植材料の安定化、適切なフラップ管理および軟組織の閉鎖が重要である。・ 垂直的骨造成を適用する前に、常に代替となる治療法を検討する。・ 患者の希望、年齢、個々の特徴を注意深く考慮しなければならない。・ 垂直的骨造成による合併症によって隣接するインプラント表面の細菌感染が及ぶ可能性もあるため、段階的に行ったほうが安全である。・ 仮骨延長術は合併症が多いため、推奨されることはほとんどない。・ 合併症を減らすには、適切な暫間処置が重要となるが、暫間補綴装置で手術部位を圧迫してはならない。とくに無歯顎患者への可撤性暫間補綴装置には注意が必要である。Prof. Urbanの最新書籍『Vertical 2』から最新垂直的骨造成のテクニックを学ぶ 2022年にドイツのクインテッセンス出版から刊行されたIstvan Urban著『Vertical 2: The Next Level of Hard and Soft Tissue Augmentation』が、このたび『Vertical 2 骨造成 垂直的および水平的歯槽堤増大術の完成形』と題した日本語版が今年7月に発刊された5。本書は2017年にドイツで刊行された『Vertical and Horizontal Ridge Augmentation: New Perspectives』の続編ともいえる(日本では2018年に『垂直的および水平的歯槽堤増大術 ソーセージテクニックと新たなコンビネーショングラフト』7と題した翻訳本が刊行している)。前著に比べて、本書ではさらに難易度が高い垂直的および水平的な歯槽骨欠Prof. Urbanによる上顎前歯部の水平・垂直的骨造成(『Vertical 2』5より引用)症例1
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