1abcdef1)はじめに2)多様なNCCLの臨床像NCCLの臨床像第 1 章 おさえておきたいNCCLに関する基本情報28図1a〜f NCCLの臨床像.いずれも非う蝕性の歯質喪失であるが,喪失の仕方は前章で扱ったtooth wearとは大きく異なる. 本章の「1.用語の整理」で示したように,NCCLに関して学術団体が定める明確な定義はないが,一般的にはCEJ付近に発生した非う蝕性の歯質欠損を指す1,2(図1).これらは,本章の「2.Tooth wear概論」で示したtooth wear症例とは明らかに異なる臨床的特徴を示している. NCCLの形態は,歯冠側壁と歯肉側壁がなす角度と最深部における明確な角の有無によって,くさび状(V字状)と皿状(U字状またはC字状)に分けられる(図2a〜d)3.90°以上だが最深部に明確な角があったり,90°以下でも最深部が丸みを帯びていたりする混合型も存在する(図2e,f).多くのNCCLは歯冠側中央部マージンがCEJ付近に位置しているが,エナメル質の欠損をともない,CEJの歯冠側へ大きく拡大している場合もある(図3).NCCLの歯冠側マージンがCEJ根尖側の歯根象牙質上に位置するパターンも考えられるが,筆者が集めたNCCLの臨床写真では確認できなかった. 一方,歯肉側マージンは歯肉縁と一致することが多いが,縁上もしくは縁下の場合もある(図4).NCCLの歯冠側マージンがCEJ付近であるならば,当然ながら歯肉側マージンは象牙質上に位置することになる.歯冠側マージンと歯肉側マージン間の距離は,短いものから長いものまで,多様である(図5). しかし,これらのNCCLは,エナメル質と歯肉縁に挟まれた領域にできていることは共通である.3.NCCLの臨床像おさえておきたいNCCLに関する基本情報
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