イノベーション・オブ・ラミネートベニア
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308ミネートベニアの強度が確保できると考えられがちだが、それは誤りであり、エナメル質内での接着を重視するべきである。また切縁部に関しては、上顎前歯部のようにマメロンなどの複雑な再現は求められないため、とくに日本人の薄いエナメル質においてはよりコンサバティブな形成を行いたい。Fig96aに本症例の支台歯形成後のデータを示すが、着脱方向に対してアンダーカット部を除去する程度のわずかな支台歯形成が行われていることがわかる。その後、CAD上で印象データを確認し、デジタルワックスアップが行われた。下顎は₃~₃のラミネートベニア、₅₄と₄₅のベニアレイとなった(Fig96b and c)。Fig96a to c CADソフトウェア上における上顎の支台歯とデジタルワックスアップを示す。abcShort Wrap Design Laminate Veneer:下顎のデジタルワックスアップb)最終修復装置の製作と装着 下顎のラミネートベニア装着時をFig97 and 98に示す。患者は「歯を可能なかぎり白くしたい」という主訴をもっていた。通常、ラミネートベニア修復治療においてはあくまでもポーセレンやガラスセラミックが第一選択ではあるが、ここではいわゆる混合積層タイプの、あまり透光性の高くないジルコニアをあえて選択した。昨今ではブリーチシェードを希望する患者も多く、従来はガラスセラChapter 5

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