CHAPTER 6CAD/CAM冠・ジルコニアクラウンがとれないためにレジンセメントの特徴と接着性能を最大限に引き出すために50PART 2 臨床編加藤正治(東京都・高輪歯科) CAD/CAM冠およびジルコニア材料は,口腔内のメタルフリーを実現できる魅力的な材料であるが,その接着機序に関してはメタルベースの補綴装置とは明らかに異なり,認識を改めなければならない. そこで本CHAPTERは,前半で両者の接着について整理し,実際の臨床で求められる接着手技の基本となる知識を深める構成とした.後半は,高頻度に行う臨床例として,生活歯レジンコーティング法併用のCAD/CAM冠症例,および失活歯ジルコニア症例の2症例を紹介している.なお,接着関連材料は筆者の臨床経験をもとにクラレノリタケデンタル社の製品を中心に取り上げるが,接着システムにかかわらずチェアサイドでのテクニックとして重要な部分についても解説する.●なかでもデュアルキュア型コンポジット系レジンセメントは,歯質,補綴装置に対する接着性に加え,●さらにセルフアドヒーシブの製品のなかでも,歯質メタルフリー補綴修復に適したレジンセメントを整理する①コンポジット系レジンセメントの選択●メタルフリー補綴修復では,金属ベースのクラウンと異なり,修復材料に応じた処理を併用するレジンセメントの選択が必須である.②レジンセメントの製品編成を理解する●最近の各社のレジンセメントの製品編成をみると,プライマーを併用して高い接着性能を有する「セルフエッチングタイプ」と,プライマーを併用せず高い操作性を有する「セルフアドヒーシブタイプ」に大きく分けられる.フィラー含有によりレジンセメント自体の強度やレジンセメントマージンの耐摩耗性などにすぐれ,弾性率の点からも,支台歯・クラウン・レジンセメントの三者で一体化を図りやすいことが特徴である.接着性を高めるために1液性ボンディング材を併用する使用法を推奨している接着システムもある(図1).チェアサイドではレジンセメントを1製品に絞るのではではなく,それぞれの系統別に用意し,症例に応じて使い分けができるように準備しておく必要があるであろう.
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