14 インプラント補綴装置の最前線にあたるアバットメントは、さまざまな機構でインプラント体と連結される。この連結機構自体は各インプラント体のデザインに依存するため、補綴治療を開始する段階で選択できるものではないが、上部構造への移行部分であり、補綴装置の安定性などさまざまな予後に関係するため、その構造や特徴を理解しておく必要がある。 インプラントプラットフォームからわずかに外側性に突出した構造部をアバットメントが取り囲みながら、スクリューで固定する機構である(図1-7a)。突出部は六角形など多角形態をとり、回転や動揺に抵抗性を有するが、高径が低いため内部連結機構と比較して、その抵抗性は低い。そのためスクリューの緩みやマイクロギャップの発生、微少漏洩(マイクロ図1-7a 外側性に突出した連結部の高径が低いため、上部構造の製作や着脱が容易である一方で、回転や動揺に対する抵抗性は低い。図1-8a インプラント体内部に連結部が設定されているため、側方力に対する抵抗力が大きい特徴がある。多くのインプラントメーカーで採用されている。リーケージ)によるインプラント周囲の感染が報告されている。一方で、上部構造の製作が容易であることや、着脱が容易であること、また平行性への許容が大きく複数本のインプラント体の連結には有利にはたらくことなどの利点がある(図1-7b)。図1-7b わずかに外側性に突出した部位との連結であるため、平行性が確保できていない複数本のインプラント体であっても、印象採得時や補綴装置装着時の干渉は少ない。図1-8b 連結部がインプラント体内部に設けられているため、平行性が確保できていない複数本のインプラント体では、印象時に印象用コンポーネント(以下、印象コーピング)が脱着できなかったり、1ピースの上部構造の装着が困難となることがある。エクスターナル・バットジョイントインターナル・バットジョイントエクスターナル・バットジョイント(外部連結機構)インターナル・バットジョイント(内部連結機構) インプラント体内部に入り込むようにアバットメントを連結するため、エクスターナル・バットジョイントに比較して、側方力に対する抵抗力が大きい特徴を有する(図1-8a)。アバットメントの緩みを生じにくいことから多くのインプラントメーカーが採用している連結機構である。一方で、インプラント頚部や連結下部はバットジョイントであるため、大きな力が加わった際にはマイクロギャップが生じる。また、複数本のインプラント体で平行性が確保できていない場合では、1ピース構造をとった上部構造が装着できないなどの欠点もある(図1-8b)。アバットメントの連結機構
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