a図21 唇側骨の吸収を予測してインプラント埋入と同時に唇側歯槽骨外側へ骨移植を行うGBRを行う(京セラ株式会社FINESIA BL Relios34-10)。安定度低い・ リスクのあるISQ値安定度高い・単冠修復・1回法・即時荷重図22 筆者が使用しているISQ測定器(Osseo 100+)。埋入時のISQ値別の補綴プロトコル。bcみや欠損状態によって唇側歯槽骨外側へ吸収を見越して骨造成を行ったり38)(図21)、結合組織移植によりフェノタイプの改善を行うことが好ましい。⑥ 初期固定 良好な初期固定の獲得も抜歯即時埋入を成功に導く重要な条件となる。 初期固定に関しては埋入トルクやISQ値(>70)11)などを参考に判断するが(図22)、インプラントの形状や埋入プロトコルによっても大きく変わり基準を示すことは難しく、現在は埋入時のISQ値を参考にし術者の技術や経験から判断している。⑦ ティッシュマネージメント 前述したように日本人の前歯部の硬・軟組織は前歯部インプラントを審美的な成功に導くには不利な条件である場合が多い。 そこでティッシュマネジメントを行う必要性があるわけだが、その目的は「審美性」と「清掃性」に分けられる。 とくに臼歯部インプラントにおいては角化歯肉の幅や口腔前庭の深さなどの条件が不良になることで清掃性が低下しインプラント周囲炎リスクが高まる。そのため臼歯部では清掃性を向上させることを目的にティッシュマネジメントが行われることが多い。 しかし審美領域である前歯部インプラントに関しては清掃性だけでなく審美性も考慮しティッシュマネジメントが必要とされる。 その理由として、薄い軟組織は抜歯後に退縮する傾向が強いためインプラント上部構造が隣在歯歯冠長よりも長くなり歯頸ラインの不揃いや、歯間乳頭の喪失、金属パーツの透過なども起こりやすく審美的に患者が不満を訴える場合があるからである。 しかし結合組織移植を行うことにより軟組織のフェノタイプを改善し、厚い軟組織のフェノタイプの術後と優位差のない審美的な結果を得られることがわかっている39)。 このようにインプラント埋入部位や環境、患者の要求によってティッシュマネジメントの目的を考慮しなければならないが、ティッシュマネジメントによって得られた厚い軟組織のフェノタイプがインプラント周囲炎ゼロコンセプトへつながることは間違いない(詳細は「CHAPTER 1-7②リスク要因としての軟組織のマネージメント」を参照)。 審美領域におけるインプラント補綴の成功と予後に影響を与える因子は外科的処置だけでなく補綴学・1回法または2回法・部分修復CHAPTER 3 即時埋入、即時荷重とインプラントの永続性15960703. 補綴学的要因
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