THE ALIGNER ORTHO
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オートローテーション。(詳細は18ページ参照)24CASE 1 ― CLASS II OPENBITE下顎をオートローテーションさせて前歯部開咬を改善するというアプローチに関しては、基本的にイニシャルアライナーのみで行った。追加アライナーにおいては臼歯遠心移動にともない、前歯部に発生するスペースを利用しリトラクション(後方移動)を行うことにより、オーバージェットの改善および前歯の相対的な挺出を活用しながらオーバーバイトの改善を求めた。これは、イニシャルアライナーでは想定よりA-P関係の改善が少なかったことから、追加アライナーではより確実にA-P関係の改善に照準を合わせた治療計画の選択が必要、との判断からであった。本症例を手がけた2016年当初、アライナー矯正治療での前歯部開咬改善における動きのメカニクスはあまり科学的に解明されていなかった。アライナーの厚みにより臼歯部が圧下し、前歯部開咬が改善しているとの副産物的な見解も多く、術者自身はその実現性について懐疑的であった。しかし、現在であればある程度の臼歯部バーティカルコントロールの実現性と、それにともなう顎関節の動きも含めた下顎のオートローテーションによるA-P関係、および垂直的な前歯部開咬の改善が科学的な見解をもとにイメージすることができる。イニシャルアライナー終了後に発現した小臼歯および大臼歯の早期接触に対して、積極的な圧下を行うことによりもう一度下顎のオートローテーションを狙いつつ、さらなる改善を求めても良かったと振り返る症例でもあった。3

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