Ⅱ級開咬症例初診時のClinCheck。(詳細は12ページ参照)エラスティックジャンプ。(詳細はCASE4 71ページ参照)23振り返り/治療ストーリー俗に「エラスティックジャンプ」と呼ばれるClinCheck上での動きは、歯の移動などの口腔内、ときには成長発育や顎関節などの口腔外での変化をともなう近遠心的、垂直的な歯列全体の位置づけの改善をClinCheck上で簡易的に再現したものである。個々の歯をアライナーで一体化させ、そこにエラスティックの力を作用させることにより上下顎歯列全体の近遠心的な移動を歯の移動的に狙う方法や、本症例のような早期接触の除去や臼歯部の圧下を行い、顎位の最適化も含めて下顎歯列全体の近遠心的、垂直的な移動を狙う方法など、さまざまなアプローチがひとくくりに「エラスティックジャンプ」と表現されている。本症例では、咬合接触がどのように起こっているかの判断が非常に重要なエッセンスとなった。右側は頰側に位置する下顎第一大臼歯のバッカルジェットが少なく、頰側咬頭のみがedge to edgeで咬合している。左側は舌側傾斜を呈する下顎第二大臼歯頰側咬頭に咬頭干渉が確認できる。まずはこれら2点の早期接触を歯列全体のアーチコーディネーションを行うことで除去し、咬合接触点を増やすことにより安定する顎位を探りつつ、顎位の最適化による水平的なA-P関係、および垂直的な前歯部開咬の改善を狙った。REVIEW NOTEShuichiro Okano12
元のページ ../index.html#5