必ず上達 ソケットプリザベーション
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 単純なソケットプリザベーションでは,メスは使わない.抜歯窩周囲粘膜の状態を保持することで,メンブレンを粘膜下に挿入した時の安定につながる.大きく切開や剥離をするほど,メンブレンは安定しなくなる.ただし,欠損部が広範囲であったり,深部まで広がっていると,粘膜を剥離しないと直視できないので,切開が必要となるが,その際も減張切開や縦切開は行わない.欠損が大きく複雑で粘膜の一次閉鎖が必要な場合は,減張切開を行う. できる限り切開をしないのは,低侵襲にするという目的がないわけではないが,一番の目的はメンブレンの安定を図るためのものである.一方,抜歯と別日に処置を行う場合は,粘膜が封鎖してしまっているので切開が必要となる. メンブレンを挿入するために最低限の範囲を十分に剥離する必要があるが,それ以上に粘膜剥離を行ってしまうと,縫合中や縫合後に内部でメンブレンが不安定となってしまい,骨補填材料の硬化に悪影響を及ぼしてしまう.ただし,剥離の範囲が狭すぎるとメンブレンが挿入できなくなるので,術野とメンブレンのサイズの確認をしておかなければならない. 切開を行わず,粘膜を必要以上に剥離しなければ,メンブレンを挿入して縫合するだけでメンブレンは十分に安定する.粘膜と縫合でメンブレンを固定するイメージである.メンブレン自体を縫合することはない.症例によって,大きく剥離しないと処置が完了できないような時や,多数歯にわたる欠損や,広範囲の骨欠損を伴う場合には,メンブレンの安定のためにボーンタックやスクリューが必要になることはあるが,ソケットプリザベーションの範疇では,ほとんどの場合において必要ではない.欠損領域が大きい場合は,骨補填材料の形態維持のためにチタンフレームで補強されたメンブレン(非吸収性メンブレンを使う場合)を使うと効果的である.47本法の特徴Ⅱ. ソケットプリザベーションにおける本法の特徴 ソケットプリザベーションも多くの方法があるが,本法の特徴は以下のとおりである.①切開しない②必要以上に大きく剥離しない③ボーンタックやスクリューを使わないCHAPTER 5 基本的な術式とその特徴

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