Digital Dentistry YEARBOOK 2024
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 IoT(internet of things:モノのインターネット、現実世界のさまざまなモノがインターネットに接続されていること1)を活用した医療DX(digital transformation)を実現させるため、デジタルデンティストリーはさらに加速している。補綴装置製作におけるデジタルワークフローの確立は、歯科医療が将来的に直面する少子高齢化問題(補綴装置を製作する歯科技工士〔供給〕の減少に対し、歯科医療を必要とする高齢者〔需要〕の増加により、 質の高い歯科医療が提供できなくなるなど)に関し、必要不可欠である。現在、歯冠補綴装置製作におけるデジタルワークフローは実用化しているが、可撤性補綴装置である義歯製作におけるデジタルワークフローは実用化し始めたところである。 近年、普及拡大したデジタルスキャナー(口腔内スキャナー〔intraoral scanner:IOS、以下IOS〕、CBCT、ラボスキャナー)は、デジタル義歯製作においても活用されている。デジタル義歯は、デジタルスキャナーで、作業用模型および咬合採得された咬合床、あるいは良好な咬合状態・適合状態・義歯床形態および顎間関係が記録されている現義歯や暫間義歯(治療用義歯等)の三次元形状をスキャン後、義歯設計用CADソフトを用いて設計し、ミリングマシーン(切削加工機)や3Dプリンター(付加造形機)により製作される方法等が紹介されている。 本稿では、DEXIS IS 3800ワイヤレス(以下、IS 3800W、エンビスタジャパン)を活用した高齢者歯科診療(義歯治療と在宅歯科診療)の提案をする(図1)。 ヤレスIOS② “無歯顎スキャン”および“義歯スキャン”以外は、スキャンパスがない③ 撮影部位により使い分けができる3種類のスキャンチップ(図3)59 在宅歯科診療では、不安定な頭位や体位をとる有病患者や高齢患者に対し、術者が不安定な姿勢で診療を行うことがある2。以下の特徴より、IS 3800Wは在宅歯科診療で活用できるのではないかと考える。① 推奨最大10m範囲内で、連続稼働最大1時間のワイ   ワイヤレスであるIS 3800Wは、安定したWi-Fi接続下であればノートパソコンとIOSが離れた位置関係であっても、推奨最大距離10mの範囲内で最大1時間の連続稼働ができる。そのため、限られたスペースでのIOSの使用が可能になる。また、Wi-Fi接続ができない場合でも、ポケット型Wi-Fiルーターやスマートフォンのテザリング機能により十分なWi-Fi接続ができる(図2)   基本スキャンにスキャンパスがなく、3種類のスキャンチップの使い分けによりスキャンすることができるIS 3800Wは、不安定な頭位や体位をとる有病患者や高齢患者に合わせた口腔内スキャンを行うことができるのではないだろうか。 エンビスタジャパン株式会社 PRESENTATION-CAD/CAMCASE DEXIS IS 3800Wを活用した高齢者歯科治療―義歯治療と在宅歯科治療の提案―前畑 香(歯科医師:ナカエ歯科クリニック)はじめに在宅歯科診療への活用

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