世界最強の歯科保健指導 下巻
4/6

2舌舌32世界最強の歯科保健指導〈下巻〉――おもしろすぎて眠れなくなる口腔機能論突然ですが、今、舌を鳴らしてみてください。そのとき、口蓋に舌が当たりますが、それが舌の正しい位置です。座位で口を閉じると、舌尖は口蓋前方のスポット、舌背は口蓋に触れます。次に口を開けると、下顎前歯の舌側に接します(図1)。では寝転んで上を向く(仰臥位)とどうでしょう?口を閉じれば舌は口蓋に触れますが、開ければ下顎前歯に当たりません。鼻から入った空気は、肺に行きます。その通り道が気道ですね。図2-aは、口を閉じて寝ているときのエックス線写真です。しかし、図2-bのように口が開くと……。下顎前歯に当たらなくなり、舌も喉に落ち込みます(舌根沈下)。すると……?十分な酸素が肺に入りません。先ほどの子どもは、バギーの背もたれに座っていました。舌筋に力がないので、口が開いただけで舌根沈下を起こし、SpO2が低くなっていたのです。重度の子は、姿勢だけで呼吸の状態が変わるのですか! 気をつけなければ……。しかし、食べる訓練を行っていると、口は開いていてもSpO2は正常値となりました。おそらく訓練によって、口唇や舌の機能が向上して舌根が沈下しなくなったのでしょう。舌は口蓋に接している舌は下顎前歯舌側に接する舌根沈下図1 閉口時と開口時の舌の位置の違い閉口時開口時“口が開く”と舌根沈下

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る