1時限目31ある2歳の重度脳性麻痺児が、バギーに座り口を開けていました。パルスオキシメーターを用い、血中酸素飽和度(SpO2)を測りました。これは血液中ヘモグロビンの何%が酸素を運搬しているかを調べる器械です。 正常値は96%以上です。口を開いている状態で測ったら88%でした。ちなみに、チベットの標高約4,000mにあるラサに行ったときに測ったことがあります。現地の正常値は90%です。この状態では、階段で2階に上がるだけでも息が切れました。空気が薄いためかなり苦しい状態です!次に、指で口を閉じさせて測ると、SpO2が94%まで上昇しました。何度繰り返しても同じ結果です。それまで、重度の障害児の口が開いているのは、その方が楽だからと思っていました。私たちも激しい運動をすると、自然に口が開きます。これは、酸素が足りないからでしょう。つまり、重度の障害児の口が開いているのは、酸素がもっとほしいから……?1時限目 ● 「口は大親分」 すべては口からはじまったvs口を開いた状態ではSpO2 88%口を閉じるとSpO2が上昇でもなぜ、口を閉じたほうが楽なのでしょうか?1口唇閉鎖と血中酸素飽和度その2「口は大親分」すべては口からはじまったTOPIC3“守り”の口腔ケア“攻め”の口腔ケア
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