マイクロデンティストリー2024
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PART1PART3PART4a図1a,b 下顎左側第一大臼歯の術前の口腔内写真.a:頬側面観,b:舌側面観.PART2図2 下顎左側第一大臼歯の術前デンタルエックス線画像.b現症:下顎左側第一大臼歯にはメタルインレーが仮着されており,頬側歯肉にサイナストラクトを認めた(図1).臨床検査:サイナストラクト付近の遠心頬側根中央の歯周ポケットは,10mmと局所的に深かった.しかし,垂直性歯根破折の徴候は認められなかった.歯髄電気診,温度診の結果,患歯は失活歯であった.デンタルエックス線検査の結果,遠心側はREを含む2根が疑われ,根間中隔から根尖にかけて透過像を認めた(図2). 下顎左側第一大臼歯の歯根と根管の形態および根尖病変の範囲を三次元的に把握するために,CBCTを撮像した.CBCT検査の結果,3根5根管5根尖孔(近心根2根管,遠心頬側根2根管,遠心舌側根1根管)で,REの根尖は頬側へ彎曲していた(図3a,b).また,近心根の遠心側から遠心2根の根尖にかけてエックス線透過像が認められた(図3b,c).診断:下顎左側第一大臼歯歯髄壊死/慢性根尖膿瘍/歯内ー歯周疾患治療経過:CBCT検査の結果,下顎左側第一大臼歯は,遠心頬側根にDB2を有する3根5根管のREで歯内ー歯周疾患をともなっていた.そのため,感染根管治療を先行し,歯周治療を併用して行う治療方針とした. 通法どおり,歯科用手術顕微鏡下で感染根管治療を施した. まず,下顎左側第一大臼歯にラバーダム防湿を行い,CBCTの水平断像を参考に,歯科用手術顕微鏡DB2を有するRadix Entomolarisに対するCBCTと歯科用手術顕微鏡を用いた歯内療法別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2024」65

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