PART1PART3PART4PART2京都府開業 中田歯科クリニック連絡先:〒615‐8072 京都府京都市西京区桂木ノ下町1‐84中田光太郎 筆者が,マイクロサージェリーに初めて触れたのは2005年.本別冊の編集委員長である鈴木真名氏のプライベートセミナーを受講したその時である(図1).それから約20年,いまだにその奥深さと,難しさと,すばらしさに魅了されている.われわれ歯科医師の扱う歯肉の繊細さに気付かされ,それをなんとかハンドリングしたいという欲求と,一次創傷閉鎖を獲得し一次創傷治癒を得るというあたりまえのことの難しさをいまだに思い知らされながら,日々臨床に対峙している. “マスター”とはおこがましいが,肉眼下での手術とは明らかに違う“マイクロサージェリー”の魅力について,根面被覆術をテーマに論じたい. マイクロスコープは歯科臨床において,精緻な治療を行うための装置としての地位を確立しつつある.そして手術分野への応用も,1992年ShanelecとTibbettsが「78th American Academy of Periodontology annual meeting in Orlando, Florida」にて発表したことからスタートする(論文としては1994年に発表されている1).それ以降,主に歯周形成外科手術領域での応用2から,歯周再生療法3,そしてインプラント治療4へと拡がり,近年では非外科的歯周治療5,サイナスフロアエレベーションへの応用6も報告されている. マイクロスコープを用いたマイクロサージェリーは,ルーペでの拡大処置とは異なる要素が多数ある.ShanelecとTibbettsが,その詳細を論文のなかで記述しているので,少し抜粋,要約させていただく7.「ルーペのほうが安価であるし,最初は使いやすい.マイクロスコープの長所は,2.5 倍から20倍の広い範囲の拡大ができることと,影のできないすばらしい照明システムであるcoaxial fiber-optic illuminationをもつことである.それに付け加えて,数々のデジタルスチールやビデオ画像によって症例の記録ができる.10年半以上ルーペとサージェリー用のマイクロスコープを使っている筆者がいえることは,マイクロスコープはルーペよりもはるかに多くの利点があるということである.ルーペとマイクロスコープを使うことによって,術者は以前見えなかったものがより良く見えるようになり,そのためよく見えなくてはできないことができるようになった.マイクロスコープのもつ心地良さ,広い用途,照明,そしてより細かく見えるという良さはルーペマスター達の臨床42別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2024」1はじめにマイクロサージェリーへの取り組みマイクロサージェリーが誘う根面被覆術
元のページ ../index.html#3