インプラントYEARBOOK2024
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237ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社松坂 賢一Kenichi Matsuzaka東京歯科大学病理学講座 教授日本口腔インプラント学会基礎系指導医,日本病理学会口腔病理専門医,日本臨床口腔病理学会,日本臨床細胞学会細胞診専門歯科医,日本口腔検査学会認定医,歯科基礎医学会明石 良彦Yoshihiko Akashi東京歯科大学病理学講座 助教日本口腔インプラント学会,日本病理学会口腔病理専門医,日本臨床口腔病理学会,日本臨床細胞学会細胞診専門歯科医,日本口腔検査学会認定医,歯科基礎医学会Clinical Reportインプラントの長期安定を確実化した「XealTM&TiUltraTM」新時代インプラント「XealTM&TiUltraTM」によるムコインテグレーションとオッセオインテグレーション インプラントがオッセオインテグレーションで顎骨に固定される必要があることはインプラント治療の常識で,高い確率で達成しており,現在では,さらに長期的な維持が求められている.インプラント脱落の大部分は周囲の感染が引き金となることも多く,それを回避するには微生物の侵入経路を遮断する必要がある.つまり,軟組織のインプラントへの接着向上とバイオフィルムを形成しづらい「軟組織と適合するインプラント」が必要である. この要求を叶えるがごとく「XealTM&TiUltraTM」がノーベル・バイオケア・ジャパン社から2020年10月1日に発売された.XealTM&TiUltraTMは,アバットメントからインプラント先端部まで,あらゆるレベルにおいて周囲組織との結合を最適化するための表面微細構造と性状によって,軟組織と硬組織の両方のインテグレーションを獲得することが可能となっている.XealTM&TiUltraTMの表面構造は周囲組織にどのように影響しているのか? アバットメント(表面)であるXealTMとインプラント(表面)であるTiUltraTMは機械研磨された表面に陽極酸化処理を施すことによって,表面の微細構造が付与されている.陽極酸化処理における電圧と時間を変えることによって,TiUltraTMのカラー部,中央部,先端部のそれぞれで,表面微細の粗さを変化させている. XealTMの表面は非常にスムースな表面(Sa:0.2μm未満)に幅3μm,深さ1μmという微細溝が付与された構造をしている.スムースな表面によって清掃性の向上が期待でき,微細溝は線維芽細胞の配列をコントロールして1軟組織の良好な接着を実現している.特に軟組織の接着が増すことによって,外部からの微生物の顎骨内侵入を阻止することが期待できる. TiUltraTMは3種類の表面構造を有し,カラー部ではスムースな表面(Sa:0.5μm未満)となっており,従来のインプラント表面にあるような孔はみられない.これによってプラークの形成が少なく,もし付

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