インプラントYEARBOOK2024
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日本口腔インプラント学会専門医・指導医,日本大学松戸歯学部臨床教授,日本大学松戸歯学部放射線学兼任講師,ITIフェロー165ストローマン・ジャパン株式会社 抜歯窩への埋入タイミングであるType1(抜歯即時埋入)およびType2(早期埋入)は,GBR(骨再生誘導法)のタイミングとともにすでに確立した手技として知られている1.その際に問題となるのはインプラント体と周囲の自家骨との間隙であり,それは抜歯時期のみならず症例ごとに異なる歯槽骨の吸収の形態によってさまざまな状態を呈するため,対応に苦慮する. 抜歯部位へ埋入された場合,適切なインテグレーションを起こすにはインプラント‐抜歯窩のギャップは水平的に3mmが限界とされている2.その場合の骨造成法は,高い予知性があり水平的骨吸収を改善するための外科処置であるGBRが,インプラント埋入と同時(1回法)もしくは先に歯槽堤を造成する段階法(2回法)として行われる.骨造成材料としては人工骨が使用されるが,インプラント周囲の骨造成材料として国内ではリン酸オクタカルシウム(octacalcium phosphate:OCP)コラーゲン複合体Bonarc®(以下,ボナーク)が,2020年から販売された. ボナークの特性としては,骨置換が速やかに行われるのみならず,置換した骨組織が周囲の自家骨と組成的に変わりなく置換され,なおかつOCPの結晶残存率が少なく骨誘導能を有していることが挙げられる3.従来抜歯窩の保存術に使用された骨補填材の多くが,その基質の残存率の高さのため抜歯窩治癒を阻害する可能性も高く,抜歯窩の保存というよりは周囲軟組織の温存のために使用され,インプラント埋入時に除去される場合もあることと比較すると,ボナークは直接的な骨組織の増加を阻害せず周囲軟組織ボリュームを維持することのできる骨補填材といえる.したがって,抜歯即時埋入の症例においても,インプラント‐骨のギャップが3mm以上ある場合,インプラント粗造表面の上に自家骨または自己血由来再生因子(PRGFなど)を貼付した後にボナークを填入することによって,安定したインプラント周囲骨の再生が見込める4. インプラント埋入予定部位の自家骨容量が少なく初期固定が取れない場合は2回法による骨造成となるが,そのときはボナークによって造成された新生月岡 庸之 Tsuneyuki Tsukioka東京都練馬区開業:つきおか歯科医院Clinical ReportBonarc®を使用したGBRとStraumann®BLXの併用による効果的臨床手技はじめに

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